共同作業のワクワク感。

 スネークは、基本は一人で行動する。潜入なので、複数人いると邪魔になってしまうのだ。しかし、メタルギアソリッド4には、敵に見つかってもいい、というか、もうすでに見つかっている、という状況がある。

 普段の潜入が「静」だとすると、サイレンサーの付いていない銃で好きなように撃ちまくれるのが「動」である。メタルギアは、この「静」と「動」のバランスがとてもよくとれている。

 笑いの原則は「緊張と緩和」だと桂枝雀師匠は言ったけど、ゲームにもその原則は通用する。潜入パートで、敵に見つからなように神経をすり減らしながら進む。そして、ある程度進んだら、今度はその鬱憤を晴らすように、高火力の武器で敵をバンバンやっつけることができるのだ。溜まったフラストレーションを見事に発散させている。

 「暗殺教室」の松井優征さんのインタビューで、「盛り上がりを作るには、盛り上げたい数話前から読者にフラストレーションを溜めさせておけばいい。それを解消させれば読者の満足度は高くなる。」と言っていた。つまりはそういうことなのだ。ホラーゲームも、怖くないところがあるから、怖いところが怖いのだ。

 メタルギアでは、そのフラ解消パートで、仲間と一緒に行動する。普段よりも、5倍の兵力となって敵を攻撃する。また、機銃が付いた装甲車に乗り込んで、あんなに強かった月光をバタバタ撃ちまくる。その共同作業のワクワク感が、僕はとても好きだ。

 ワクワクさせる理由のもう一つに、音楽がある。この、フラストレーション解消パートの音楽が、めちゃくちゃいいのだ。高揚感がハンパないのだ。「よし、行くぞ!」って感じの、まさにな音楽なのだ。M1の漫才が始まるときの音楽なのだ。

 小島監督は、映画も小説も音楽も大好きだから、人がどうすればワクワクするかっていうのを、ちゃんとわかっているんだと思う。映画の演出論とか、音楽の構成とか、まさに、「監督」なんですね。

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