ワーカーホリック 心酔する愚者 2章-③
本部がこの場所に移ってから、セキュリティはかなり上がったのではないかと思う。
以前は5階建てのビルをだったが、私の襲撃で使えなくなったからだ。上階はそこまで壊さなかったが、1階と地下は念入りに壊したので、ビルごとの移転が必要になったのだ。
現在の本部は廃墟当然だった神社を買い取って、改修と名目で本尊から母屋まで、また周辺近くの土地も買い取り、幼稚園と屋内プール付きフィットネスクラブを設営、その運営会社という表向きの会社ということで、敷地内の7階のビルを建設した。
主に私たちの事務所は2つ、1つはビルの2階、主に任務の内容を聞くためのオフィス、バックオフィスの部署というのが近いだろう。一応、わたしやSの席はあるが、荷物はほとんどない。
2つめは、神社の本尊の横にある母屋と離れのある建物だ。母屋は2階建ての建物で主に神社の事務所扱いとなっているが、もともと神主がいない神社であったので、移動してから、倉庫や受付などをつくって神社らしくしたが、9割以上は私の事務所だ。
実際には客間、事務所、私の寝室、書斎、お花や習字を行うお稽古場所があったりなど細かく区分けスペースがあるが、母屋はほとんど私のスペースといってよい。
いや、胸をはって私のスペースというのは、おかしいのだろう。
機関としては、わたしを手元に置きたいようで、近くにはいてほしくない。
そこで母屋に私やSを含むメンバーの事務所にすることで、ビルには近づけないようにする。簡単に反乱させないようにだ。だがメリットもある。いかに神聖な場所で怪しい武器や道具を隠すのはとても便利ある。
そして私は神社の仕事も行うことで、本部の事務所には滅多に近づくことはない。
正直わたしも、本部の入っているビルよりもこの母屋でのびのび出来るのがとても良い。夜遅くなるときは母屋の自室に泊り、庭で七輪を焚いてお酒をのみながら過ごすことが楽しい。
今日は遅くるから、お酒何を飲もうか考えながら、本部のビルの前の駐車場につく。
Sの運転していた車から降り、2人でビルに向かう途中でSが先に喫煙所に行こうと言い出す。
「普段吸わないのに、急にどうしたの?」
「この時間なら部長たちが吸いにいっているはず、先に話にいくぞ」
「根回しするの?」
「今回も報酬額が大きいからな。念の為に先に話してこっちの取り分は下がらないようにしないと」
「そういうところ、大人というか社会人だよね。立ち回りうまいというか」
「お前が下手すぎるんだよ」
俺を見習えといいながらSは前を歩く
ビルのエントランス着くと、受付のお姉さん2人会釈してくれた。そのままビルのセキュリティーカードでゲートを通り、4階へ向かう。
エレベーターのボタンを閉めた同時にSが声をかける
「エレベーターで知らない人から抱きつかれるって結構きついな」
「急に私の気持ちわかってくれたの?」
「さっき思い出したけど俺、埼京線に乗っていたとき、知らない女に後ろから抱きつかれたときあったわ」
あれは驚いたわ。とつぶやいているが、内心怖くなないのだろう
「美女だった?」
「いや、普通のOLだった。どこから見ても普通の。だから恐怖よりも驚きほうが強かったわ」
でもと言いかかけて、4階にエレベーターがつく。
「やっぱり他人に急に抱き着くってことは下心は丸出しってことだよな。」
そんな風にSがつぶやくと私はエレベーターの扉をボタンを押してSを先におろした。
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