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ワーカーホリック 心酔する愚者2章-⑥

Sによる根回しのような脅迫が終わったあと、私たちはそのまま神社に向かうことにした。

この事務所の入り口から神社までは徒歩5分ぐらい、敷地内を歩かないといけないが自分たちで作った土地だからか、道は舗装され幅は広く作られている。今年の夏は神社から敷地内の大通りを屋台を呼んでお祭りしたいと考えていたが、なかなか上から許可がおりない。

「なんでお祭りしたいんだよ」
「だって何もない神社があっても不気味じゃない、広いスペース、備品がたくさんあるのなら行事を増やして観光地ぽくしたほうが儲かるかと」
「儲けたいのかよ。まぁなんもない神社があっても不気味だよな。何年か前に本殿に肝試しに侵入されそうになったことがあるらしいからな」
「不気味だと変なやつが集まりやすいからね、お祓い神社てコンセプトも考えたけど、専門的すぎて雨宮さんじゃ対応できないてって言ってたし。」

大通りを抜けて枠道の林にはいる。

「雨宮さんて確か神学部出身なんだよ」
「そうそう。隣の駅の天神社の息子さん。この神社は昔から月に何回かは雨宮さん一家がお掃除とお祈りをしていてね。出張神主さんをやっていたらしいけれど。雨宮さんのお姉さんがお婿さんの神主さんを連れてきたらしくて、跡取り問題に発展しそうになったときに、新しい事務所がここに出来ることになってね。」
「ここの神社の管理、宗教団体としての運営と俺たちのお世話を任せる条件で神主を引き受けたってことだよな。」
「そういうこと!結局去年の夏のまで跡取り問題でもめていたようだけど、雨宮さんが天神社のお手伝いもするってことで解決して、ここの神主になり、神事を行いながら、離れの事務所と母屋の客室での習いこど教室の管理をしているってこと」
「ざっくりした話にまとまったな」
「まあね、本人目の前に見えてきたし」

赤い鳥居を抜けて、本殿に座っている雨宮さんが見えた。わたしたちは手洗い場で清め、本殿でご挨拶をする。
雨宮さんはいま、お祈り中であったため、こちらを振り返ることはなかった。私たちも邪魔をするわけにもいかないので、お祈りが終わったあと、そのまま母屋に向かった。


母屋は土足現金である。
ここを作るとき、オフィス的な場所にしたくなかったので、上層部に頼んでおしゃれな古民家風の建屋にした。
しかし私の言葉は上層部に響かなかったが、賠償金と
馬場ちゃんの後押しもあり、だいぶ私たちよりの内装と外装で仕上がったが、しかし肝心の馬場ちゃんは海外にいることが多く、ここ数年は私がほとんどこの母屋を使っている。

神社のお仕事は離れの建屋に御神籤や事務所を併設しているので、雨宮さんがここの母屋にくることはほとんどない。
習い事教室の出勤時と退勤時の管理をするときぐらいかもしれないが、雨宮さんが先生を案内するときぐらいなので、私たちも週に1回会えればよいほうだ。

母屋の入り口で靴をぬいで、靴箱にしまう。
Sはしまわず靴箱にある自分専用のスリッパに履き替えて1階の客間に向かって進む。
わたしは自分の執務室へ荷物を置きにむかう。

執務室について、荷物をおきパソコンと手帳を持って客間に向かう。
客間に向かっている途中、キッチンから紅茶の良い匂いがした。

客間につくとSがソファで寝そべりながら、パソコンで資料をみている。
わたしも一人掛けソファに座ってパソコンを起動したタイミングで、花房が入ってきた。

「先輩方。お疲れ様です。紅茶とお菓子どうぞ」

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