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遺書。


誰にも渡したくなかった。
たった一人の例外だった。

誰にも触れさせたくなかった。
たった一人の特別だった。

振り返っても、書き直しても、何も変われないから。
あぁ、違うな。もっと単純なことだった。

寂しいよ。君がいないとさ。
以上をもって、これを僕の遺書とする。

sorisawada.

大切とは何か。
考える度にきみに触れたくなる。
体温を分かち合いたいのだ。
それがきみを理解するために必要だった。

私はあなたのそばに、隣にすら立てていなかった。
場違いだった。場数が違った。
きみを見すぎて、私はいなくなっていた。
気づいた時にはもう遅かった。

良い曲を描きたいと、いつも思っていた。
いつもいつも。数年の月日を数えても。
私は気持ちに気付こうとしなかった。
向き合おうとしなかった。

きっと知っていたから。
知っているから、わかった気になっていた。

この気持ちは飛行機に乗せて君のもとへ。
忘れてはいけない気持ち。
誰かに向きを変えてしまったら、私は一生悔いる。

一向に進まない分秒が私を未来に向けて、
私の背中をそっと一秒ずつ押していく。

その速さに私は追いつけない。
一秒、されど一秒。
気づいた時には遅かった私に重ねて。

人生を尽くして、君のために。
そして私が私であるために。

以上をもって、
私がiを持って、あなたと生きるための遺書とする。


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