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2023年12月18日 高校生のアニメキャラのアルバイトシーンを見るのが少しだけつらい

アニメを視聴していて、苦手、とまでは行かないのだが、毎度見るたびにちょっぴり心が痛むシーンがある。
それは、高校生の登場キャラがアルバイトをしているシーンである。

先に断っておくと、それは「貴重な学生生活を一時のお金稼ぎのためにわざわざ労働に費やすなんて勿体ない・・・」といった老婆心的な理由からではない。
むしろその対極というべきか、そのアニメキャラが急に自分とは遠い存在のように見えてしまうから、である。

私自身の高校時代の話をここでさせていただきたい。
私が通っていた高校は、偏差値の割に進学実績はそこそこ良いですよというような、いわゆる自称進学校とでも言われるようなタイプの学校であり、そしてそういった高校にありがちな、アルバイト禁止という校則がしっかりと課されていた。

アルバイトというものは、学校生活を送る上で絶対に守らなけらばならない校則で禁止されている。
だから自分の意志に関わらず、アルバイトをすることはそもそも不可能なのだ。

・・・というのは、高校生時代の私が私自身に無理矢理、アルバイトをしない理由としてつけていた言い訳のようなものである。

実際は、アルバイトをすることについて、学校側は事実上の黙認状態にあった。
結構な数の生徒がアルバイトをしていたし、アルバイトをしていることがバレて生徒がペナルティを受けたというような話も一度も聞いたことがなかった。
さらに教室でクラスメートが「今日このあとバイトあるんだけどさ~」というような話を明らかに担任の先生が聞こえるような声でしても、毎回先生は聞かなかったフリをしてスルーを決め込んでいた。
それが良いか悪いかの是非はまた別として(というより普通に考えたら間違いなく悪いのだろうが。よりコンプライアンスが厳しくなった昨今の尺度で考えたら特にそうかもしれない)、とにかくしようと思えばすることはできたのだ。

ただ、高校生時代の私は今の私よりも遥かに人と関わるということに苦手意識を持っており、高校生がするアルバイトの定番であろうコンビニやファミレス、スーパーでのアルバイトという、不特定多数のお客さんと関わってコミュニケーションを取る仕事なんてまず無理だろうと決め込んでいた。

あと、人と関わる以外の部分でも高校生の定番の接客のアルバイトなんて絶対に無理だろうと思っていた。
コンビニとかスーパーでのレジ打ちなんてものは反射神経とか細かい動きが求められそうだし、お客さんに商品がどこにあるか聞かれて瞬時に答えられる自信はなかったし、ファミレスでお客さんの注文を間違えず出せる気は全くもってしなかった。

さらに、私の通っていた高校でアルバイトをしていた生徒たちというのはいわゆるクラスの中心人物的な人たちが大半であった。
ゆえに、元々充実した学生生活を送れるポテンシャルのある人たちがお金を増やしより遊びに打ち込むことでさらに充実した学生生活を送りたい!という際限なき欲望を実現するために行うもの、といったイメージが今でも心のどこかにあるのである(ちなみにその欲求自体は別に悪いことじゃない、と今ならやっと思える)。

だから、アルバイトをする(やろうと思うようなバイタリティを持つ)高校生というのは、対人関係にそこまで苦手意識がなく細かい作業もそつなくこなすことができ、かつ充実した学生生活を送るリア充(死語)であり、一切の誇張表現なしにまるで超人みたいな存在だと、今でも心のどこかで思っている自分がいる。たとえそれが現実は多くの場合違うものであるとわかってはいても。

一方、アルバイトをする一番の動機になるであろう「お金が欲しい」という欲求については、今振り返ってもそこまででもなかった気がするし、親から毎月もらっていたお小遣いと毎年1回のお年玉でそれなりに満足して日々を送ることができていた。
なので結局どっちにしてもアルバイトしようと思うことはなかったかもしれない。
でもなんというか、自分に対する自信のなさゆえに、アルバイトするという選択肢をハナから排除してしまうような、そういった引っ込み思案なメンタリティでいたことについては今でもというか、今だからこそ余計に後悔している部分が大きいのである。

だから、高校生のアニメキャラがある話から急にアルバイトを始めたりすると、「自分とは遠い存在になってしまった・・・」と一方的に感じ、少しばかり寂しい気持ちになったりする私がいるのである。
「あぁ、このキャラは高校生だった頃の私とは違い、アルバイトしたいと思ったらしようと思えるような、前向きなマインドとメンタリティを持っているんだな・・・」と、当時の自分と比較し、少しばかり卑屈な気持ちになっている私もいるのである。もう高校を卒業してから◯◯年が経っているというのに。

とはいえ、今の自分は高校生だった頃の自分より自信というものを確かに身に着けた気がするし、今もし高校生の自分に戻ることができたらアルバイトを始めようと思えるかもしれない。
そうしたら、その時代から大分後に製作されるアニメである「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」の、梓川咲太と古賀朋絵がBenny'sでバイトする場面の数々ももう少しフラットな気持ちで見れるようになる・・・のかなあ。



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