黄色

2024年10月5日20時過ぎ、私は、すがすがしい気持ちと少しばかりの涙をぐっと胸の中に閉じ込めて小劇場を去った。

やっと離れられた。

7年間執着し続けてきたものから、やっと逃げられた。
ずっと苦しかった。早く離れたかった。でも、離れられずにいたから。

大好きだったアイドルが結婚して、もうすぐ5か月。立ち直ったつもりで、でもずっと憎たらしくて、早く嫌いになりたくて、嫌いなところを探しては「こんな人なんだからもうこだわらなくていいのだ」と言い聞かせた。そうでもしないと、嫌いになんてなれなかったし、忘れられないと思った。
そんなことをしていたら、大学の講義で全く同じようなことを描いた詩に出会えたことは非常に興味深く、この一連の負の感情が呼び起こした唯一の小さな幸福だったように思える。

結局、嫌いになることは出来ないままだった。それでも別によかった。
嫌いになってしまえば、過去の自分すらも丸ごと否定できてしまうような気がしたし、好きだった、と過去形にするだけで事足りたような気がする。

大好きだった。最後まで、大切だった。

ちょっとあざとくて、いつだって物事の体系を捉えようとしていて、若干理屈っぽいところが大好きだった。

自分の好きなことを形にしようとするけど、器用なようで不器用な部分もある、完璧じゃないところが大好きだった。

なかなか私の事を覚えてくれなくても、大好きだった。
だって最後には覚えてくれたし、綺麗な姿だけを覚えていてほしいと思って私は変わろうと努力していた訳だし。

誕生日を迎えた私に、生まれてきてくれてありがとうと言ってくれるところが大好きだった。
その一言だけで、私は生きていて良かったんだと思えた。

歌って踊る姿が大好きだった。
いつだって実直な踊り方をしていて、何よりもキラキラとした表情を見るのが楽しみだった。泣きたくなるほど綺麗な日もあった。

いつだってポジティブなところが大好きだった。
底抜けのポジティブが鬱陶しく感じることがなかった訳じゃないけど、何度も励まされたし、私の分まで前を向いていてくれるような気がしていた。

未練はないけれど、寂しいものは寂しいな、と思う。
納得して切り捨てても、手放しても、それまで執着していたものが手元から消えていくのは怖くて、寂しくて、不安だ。
今だって、お別れなんだと今までの思い出や彼がくれたものを思い浮かべれば涙が出てきそうだ。
沢山の愛と幸せを与えてもらったし、それに見合う対価はそれなりに払ってきたつもりだ、釣り合いは取れてる、未練はない。

それから、幸運なことに私には新しく大切にしたいと思える人がいる。
いつもそばにいると言ってくれて、3割くらいは私たちを笑わせようと思ってふざけてくれて、睡眠のことばかり気にかけてくれる、新しい大切な人がいる。
僕のことだけ見て!と言ってくれたあの日からここに至るまで、丸7か月が経過してしまった。本当に申し訳ない。
本当に申し訳ないと思えるくらい本気で好きになれてよかった。

もう二度と、破滅するような「好き」を抱かないようにしようと、誓う。
知らず知らず人生をかけてしまっていたけど、もっと自分を中心に自分の人生について考えてみても良い気がする。
ちょうど進路悩んでたし。タイミングがよかった。
自分がしんどい時に甘える先にしたいと思うし、人生に彩を添える程度で会いに行きたいと思う。誰かと比較するとか、張り合うとか、そういうことじゃなくて、行きたいと思った場所に、行きたいと思う数だけ行けばよいと思う。思えるようになった、というのが正しいのかもしれない。

元推しについての記事を書くのはこれで最後!
次回辺り、COMMUNEの話だとか、東京公演の話だとかを書けたら良いと思っている、良い加減明るい記事書かなくちゃ笑

今までありがとう!また気が向いた時に会おうね、ばいばい!


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