見出し画像

2標本のKS検定(Kolmogorov–Smirnov test, コルモゴロフ–スミルノフ検定)

Kolmogorov-Smirnov検定(KS検定、コルモゴロフ–スミルノフ検定)は、有限個の標本に基づいて、二つの母集団の確率分布が異なるものであるかどうか、あるいは母集団の確率分布が帰無仮説で提示された分布と異なっているかどうか、を調べるために用いられる検定です[Wiki, KS test]。

本稿では、特に、2標本のKS検定、すなわち2標本のKS検定量$${D_{m,n}}$$に対して、$${n=m}$$が十分に大きいとき、

$$
D_{m,n} > \sqrt{\dfrac{n+m}{nm}} \cdot \sqrt{- \left( \log \dfrac{\alpha}{2} \right) \cdot \dfrac{1}{2}}
$$

であるならば、帰無仮説$${H_0}$$: 確率変数$${X_1, …, X_m}$$及び確率変数$${Y_1, …, Y_n}$$が分布関数$${F}$$に関してi.i.d.である、は信頼水準$${\alpha}$$で棄却される、という有名事実に関して考えます。各定理の証明は参考文献を載せるのみである点、ご了承ください。


1標本のKS検定

2標本のKS検定について考える前に、1標本のKS検定について整理しておきます。すなわち、帰無仮説$${H_0}$$: 確率変数$${X_1, …, X_n}$$が分布関数$${F}$$に関してi.i.d.である、について検定することを考えます。

ここから先は

3,962字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?