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【漫画原作部門】『キズナの街角』第1話

ログライン

「"眠れる街"で目覚めたのは、若き公務員の情熱だった——。 観光客は増えても孤独死が絶えない矛盾。 伝統と革新の狭間で揺れる人々。 そして、彼を導く"透明な案内人"の正体とは? 一人の青年の奮闘が、街の未来を変える!」

あらすじ

人口減少に悩む地方都市・常陸市。新人市役所職員のハヤトは、持ち前の行動力で街の再生に挑む。観光振興や高齢者支援など、様々な課題に直面しながらも、仲間たちと共に乗り越えていく。そんな中、彼を導く謎の少女・サクラの存在が明らかになっていく。しかし、大企業の工場誘致や隣町との合併話など、新たな試練が街を襲う。ハヤトは、サクラの正体と向き合いながら、街の真の姿を見出していく。彼の情熱は、やがて市民たちの心を動かし、眠っていた街に新たな息吹を吹き込んでいく。果たして、ハヤトは街の未来を切り開けるのか?そして、サクラの正体とは...?

第1話:目覚めの鐘


1. 新たな赴任地(1-3P)


朝日が昇る常陸市。人通りの少ない駅前商店街。シャッターの閉まった店が目立つ。
ハヤト(25歳)が大きなスーツケースを引きずりながら歩いている。 特徴:黒髪短髪、眼鏡をかけた知的な顔立ち。笑顔が爽やか。
ハヤト(心の声)「よし、今日から俺の常陸市での生活が始まるんだ!」
駅前の時計台。8時を指している。
ハヤト「うわっ、もうこんな時間!急がないと!」
小走りで市役所に向かうハヤト。道すがら、閑散とした街並みを見渡す。
ハヤト(心の声)「思ったより、寂しい街だな...。でも、きっと隠れた魅力があるはず!」
市役所に到着。緊張した表情で玄関に立つハヤト。
ハヤト(小声で)「よーし、頑張るぞ!」

2. 初めての職場(4-7P)


市役所内。まちづくり推進課のオフィス。
課長の山田(50歳)が新人のハヤトを紹介している。 特徴:白髪交じりの短髪、厳しそうな目つき。
山田「みんな、今日から来た新人を紹介する。佐藤ハヤト君だ」
ハヤト(元気よく)「佐藤ハヤトです!常陸市の発展のために全力を尽くします!」
先輩の鈴木翼(28歳)が冷ややかな目でハヤトを見ている。 特徴:スマートな体型、クールな雰囲気。
翼(小声で)「また、やる気だけは一人前の新人か...」
同僚の高橋明日香(30歳)が優しく微笑む。 特徴:長い黒髪、知的で温かみのある雰囲気。
明日香「ハヤトくん、よろしくね。分からないことがあったら、何でも聞いてね」
ハヤト「はい、ありがとうございます!」
山田「さて、早速だがハヤト君。今日から『常陸市魅力再発見プロジェクト』を担当してもらう」
ハヤト(目を輝かせて)「はい!どんな内容なんですか?」
山田「まずは、市内の歴史的建造物の調査からだ。明日から現地調査に行ってもらう」
ハヤト「分かりました!僕がこの街を発展させてみます!」
翼(呆れた表情で)「おいおい、そんな簡単に言うなよ。前任者もそんなこと言いつつ逃げちまったんだぞ」
ハヤト(驚いて)「え?それはなんで...」
明日香「まあまあ、翼くん。ハヤトくんの意気込みは大切にしましょうね」
山田「そうだな。じゃあ、明日から頑張ってくれ」
ハヤト(決意の表情で)「はっ、はい!必ず成果を出してみせます!」

3. 街の現実(8-11P)


翌日。ハヤトが市内を歩いている。カメラを手に、メモを取りながら歩く。
ハヤト(つぶやきながら)「ふむふむ、ここが江戸時代からの老舗か...」
老舗の前で写真を撮ろうとするハヤト。しかし、シャッターが閉まっている。
ハヤト「え?閉まってる...」
通りがかりの老人に声をかける。
ハヤト「すみません、この店はもう営業してないんでしょうか?」
老人(しわがれた声で)「ああ、3年前に閉めちまったよ。若い衆が都会に出ていっちまってな」
ハヤト(がっかりした表情で)「そうですか...」
老人「他にも、閉まった店がたくさんあるよ。この街はもう、終わりかもしれんな」
ハヤト(心の中で)「そんな...」
場面変わって、古い神社の前。
ハヤト「ここが常陸神社か。歴史を感じるな...」
神社の境内に入ろうとするハヤト。しかし、立て札が。
立て札「本日休館」
ハヤト(驚いて)「神社が休館...?」
神主らしき人物が現れる。
神主「すまんな若いの。人手不足でね、毎日開けてられないんだよ」
ハヤト「そうなんですか...。でも、こんな素晴らしい神社がもったいないです」
神主(寂しそうな笑みで)「そうだねぇ。でも、お参りに来る人もめっきり減ったしね」
ハヤト(悔しそうな表情で)「何とかならないんでしょうか...」

4. 挫折の兆し(12-13P)


夕方。市役所に戻ってきたハヤト。疲れた表情で椅子に座る。
山田「どうだった?調査の成果は?」
ハヤト(元気なく)「はい...。でも、思ったより状況が厳しくて...」
翼「だから言っただろ。簡単に考えるなって」
ハヤト「すみません...。でも、何とかしたいんです!」
明日香「ハヤトくん、焦らなくていいのよ。少しずつでいいから」
ハヤト「でも...」
山田「とにかく、レポートを作成して提出しろ。期限は明日の夕方だ」
ハヤト「え?明日の夕方までですか?」
翼「当たり前だろ。仕事なんだから」
ハヤト(困惑した表情で)「は、はい...」
夜遅く。オフィスに残るハヤト。必死でパソコンに向かっている。
ハヤト(独り言で)「くそっ、全然まとまらない...」
窓の外。月明かりに照らされた静かな街並み。
ハヤト(窓の外を見ながら)「この街を、何とかしたいのに...」

5. 偶然の出会い(14-18P)


翌日の夕方。公園のベンチに座り込むハヤト。疲れ切った表情。
ハヤト(つぶやく)「はぁ...レポート、ボロボロだったな...」
突然、背後から声が。
???「あの、大丈夫ですか?」
振り返ると、一人の少女が立っている。サクラ(20歳)。 特徴:ショートヘア、大きな瞳。古風な雰囲気を漂わせている。
ハヤト(驚いて)「え?あ、はい...大丈夫です」
サクラ「でも、とても疲れているように見えますよ」
ハヤト「まあ...ちょっと仕事で行き詰まってて...」
サクラ(微笑んで)「この街のことで悩んでいるんですね」
ハヤト(驚いて)「え?どうして分かったんですか?」
サクラ「あなたの目を見れば分かります。この街を何とかしたいって」
ハヤト(感心して)「すごいですね...。そうなんです。僕は市役所の職員で...」
サクラ「私、この街のことならちょっと詳しいんです。良かったら、案内しましょうか?」
ハヤト(目を輝かせて)「本当ですか?ぜひお願いします!」
二人、歩き出す。夕日に照らされた街並みを背景に。

6. 隠れた魅力(19-23P)


サクラに導かれて、ハヤトが路地裏に入っていく。
サクラ「ここなんです。常陸市の隠れた名所」
古い蔵造りの建物が現れる。
ハヤト(驚いて)「わぁ...こんな場所があったなんて」
サクラ「ここは江戸時代から続く酒蔵なんです。今でも、地元の人しか知らない銘酒を造っているんですよ」
ハヤト「へぇ...すごいですね」
場面変わって、小さな工房。
サクラ「ここは、伝統工芸の工房です。常陸塗りという漆器を作っているんです」
職人(笑顔で)「おや、珍しい若いお客さんだね」
ハヤト「すみません、突然お邪魔して。素晴らしい技術ですね」
職人「ありがとう。でも最近は、後継者がいなくてね...」
ハヤト(真剣な表情で)「そうなんですか...何か対策を考えないと」
サクラ(ハヤトの様子を見て微笑む)
夜の街。ライトアップされた古い建物。
サクラ「ここが最後です。常陸市の象徴、時の鐘楼です」
ハヤト(感動した表情で)「綺麗ですね...。こんな素晴らしい建物があったなんて」
サクラ「でも、修繕が必要で...このままだと、いつか壊れてしまうかもしれません」
ハヤト(決意の表情で)「絶対に、そんなことにはさせない。この街を、もっと多くの人に知ってもらいたい」
サクラ(嬉しそうに)「その言葉、待っていました」

7. 新たな決意(24-26P)


翌日。オフィスでのミーティング。
ハヤト(熱心に説明している)「そして、こういった隠れた魅力をもっとアピールすれば...」
山田(感心した様子で)「おい、ハヤト。昨日と打って変わって積極的じゃないか」
翼(驚いた表情で)「どうしたんだ?急に」
ハヤト「はい!実は昨日、街を案内してくれる人に出会って...」
明日香「へぇ、そうなの。その人のおかげで、新しい発見があったのね」
ハヤト「はい!常陸市には、まだまだ知られていない魅力がたくさんあるんです!」
山田「なるほど。具体的にどんな企画を考えている?」
ハヤト「はい!まず、『常陸市隠れ名所ツアー』を企画したいと思います。そして、SNSを活用して...」
翼(呆れたように)「おいおい、そんな急に...」
明日香「でも、面白そうじゃない?私も協力するわ」
山田「よし、企画書を作ってこい。期待しているぞ」

8. プロジェクトの始動(27-29P)


数日後。オフィスでの作戦会議。
ハヤト(ホワイトボードの前で)「というわけで、『常陸市隠れ名所ツアー』の具体的なプランはこんな感じです」
明日香(感心した様子で)「素晴らしいわ、ハヤトくん。よく考えられてるわね」
翼(腕を組んで)「まあ、悪くはないな。でも、予算はどうする?」
ハヤト(少し困った表情で)「そこが問題で...。できるだけコストを抑えたいんですが」
山田「そうだな。予算は限られているからな」
ハヤト(決意の表情で)「分かりました。それなら、僕がSNSで宣伝します。費用はかかりませんし」
明日香「私も手伝うわ。地元の人脈を使って、協力してくれる人を探してみる」
翼(少し驚いた表情で)「おい、そんな無茶な...」
山田(微笑んで)「まあ、やる気があるならやってみろ。期待しているぞ」
ハヤト(嬉しそうに)「はい!必ず成功させます!」

9. 困難の始まり(30-32P)


街中。ハヤトが地元の店主たちに企画の説明をしている。
ハヤト「そういうわけで、ぜひツアーに協力していただけないでしょうか」
店主A(怪訝な表情で)「そんな急に言われても...」
店主B「観光客が来たら、うちの静かな暮らしが壊れるんじゃないか?」
ハヤト(必死に)「いえ、そんなことはありません!むしろ、街が活性化して...」
店主C(冷たく)「若いのが勝手なこと言って...。帰ってくれ」
ハヤト(落胆した表情で立ち去る)
場面変わって、オフィス。
ハヤト(疲れた表情で)「はぁ...全然上手くいかない」
明日香(心配そうに)「大丈夫?無理しすぎないでね」
ハヤト「でも、このままじゃ...」
翼(ため息をつきながら)「だから言っただろ。そう簡単にはいかないって」
ハヤト(悔しそうに机を叩く)「くそっ...」

10. 思わぬ助っ人(33-36P)


夕方。公園のベンチに座り込むハヤト。
ハヤト(つぶやく)「どうすれば...」
突然、後ろから声が。
サクラ「また会えましたね」
ハヤト(驚いて振り返る)「サクラさん!」
サクラ(微笑みながら)「どうしたんですか?また悩んでいる顔してる」
ハヤト(ため息をつきながら)「はい...。せっかく企画を立てたのに、協力してくれる人がいなくて...」
サクラ「そうですか...。でも、あきらめちゃだめですよ」
ハヤト「でも、どうすれば...」
サクラ(静かに)「この街の人たちは、実は変化を恐れているんです。でも、誰かが一歩を踏み出さないと何も変わらない」
ハヤト(驚いて)「サクラさん...」
サクラ「私にも、協力できることがあります。一緒に頑張りましょう」
ハヤト(目を輝かせて)「本当ですか?ありがとうございます!」

11. 新たな作戦(37-40P)


翌日。オフィスでのミーティング。
ハヤト「というわけで、新しい作戦を考えました」
山田「ほう、どんな作戦だ?」
ハヤト「まず、地元の人たちに向けた『常陸市再発見ウォーク』を開催します。観光客向けじゃなく、地元の人たちに街の魅力を再認識してもらうんです」
明日香「なるほど。それなら、地元の人たちも参加しやすいわね」
翼(腕を組んで)「でも、参加者は集まるのか?」
ハヤト「はい。サクラさんという方が、地元の人脈を使って協力してくれることになりました」
山田(興味深そうに)「サクラさん?誰だ、その人は」
ハヤト「えっと...(困った表情で)実は、よく分からないんです。でも、街のことをよく知っている方で...」
翼(疑わしげに)「おい、大丈夫なのか?」
明日香「でも、面白そうじゃない。私も協力するわ」
山田「よし、やってみろ。だが、結果は必ず出せよ」
ハヤト(決意の表情で)「はい!必ず成功させます!」

12. 再発見ウォークの日(41-44P)


休日の朝。市役所前の広場。
ハヤト(緊張した表情で)「さあ、今日が勝負だ...」
明日香「大丈夫よ、ハヤトくん。みんなで頑張りましょう」
翼(腕組みをしながら)「まあ、俺も手伝うさ」
サクラが現れる。
サクラ「おはようございます。準備はできましたか?」
ハヤト「サクラさん!はい、何とか...」
徐々に人が集まってくる。予想以上の人数。
ハヤト(驚いて)「こんなにたくさん...」
サクラ(微笑んで)「ほら、みんな興味があるんです。さあ、始めましょう」
ハヤト(深呼吸をして)「よし...」
マイクを持って前に立つハヤト。
ハヤト「みなさん、おはようございます。今日は『常陸市再発見ウォーク』にご参加いただき、ありがとうございます」
参加者たちの好奇心に満ちた表情。
ハヤト(力強く)「今日は、私たちの街の隠れた魅力を再発見する旅に出かけましょう!」

13. 街の魅力再発見(45-48P)


グループに分かれて街を歩く参加者たち。
ハヤト(酒蔵の前で)「ここが、江戸時代から続く老舗酒蔵です」
参加者A「へぇ、こんな所があったのか」
参加者B「知らなかった...」
場面変わって、伝統工芸の工房。
明日香「ここでは、常陸塗りという伝統工芸が作られています」
参加者C(感動した表情で)「すごい...こんな素晴らしい技術が、私たちの街にあったなんて」
職人「みなさんに興味を持ってもらえて嬉しいよ」
翼(工房を見回しながら)「後継者の問題も、こうして知ってもらえれば...」
場面変わって、時の鐘楼の前。
サクラ「ここが、常陸市の象徴である時の鐘楼です」
参加者たち、感嘆の声を上げる。
ハヤト「実は、この鐘楼の修繕が必要なんです。みなさんの力を貸してください」
参加者D「そうだったのか...。何か協力できることはない?」
参加者E「私たちにできることなら、何でもするよ」
ハヤトとサクラ、嬉しそうに顔を見合わせる。

14. 予想外の展開(49-53P)


ツアー終了後。市役所前の広場に集まる参加者たち。
ハヤト「みなさん、今日は参加してくださってありがとうございました」
参加者たち、拍手。
参加者F「いや、こちらこそありがとう。街の魅力を再発見できたよ」
参加者G「これからは、もっと街のことを大切にしたい」
突然、地元メディアの取材陣が現れる。
記者「すみません、この企画について取材させていただけませんか?」
ハヤト(驚いて)「え?あ、はい...」
カメラの前で インタビューに答えるハヤト。
ハヤト「この街には、まだまだ知られていない魅力がたくさんあるんです。そして、それを守り育てていくのは、私たち市民一人一人なんです」
参加者たち、感動して聞いている。
記者「素晴らしい企画ですね。これからの展開は?」
ハヤト(力強く)「はい。これからも、みなさんと一緒に街の魅力を発信し、守っていきたいと思います」

15. 反響と新たな一歩(54-56P)


数日後。オフィスでのミーティング。
山田「ハヤト、お前のおかげで予想以上の反響があったぞ」
明日香「本当よ。SNSでも話題になってるわ」
翼(少し照れくさそうに)「まあ、頑張ったからな」
ハヤト(嬉しそうに)「ありがとうございます。でも、これからが本番です」
山田「そうだな。次はどんな企画だ?」
ハヤト「はい。次は...」
突然、オフィスに地元の商店主たちが訪ねてくる。
店主A「すまなかったね、若いの。協力させてくれ」
店主B「うちの店も、次の企画で使ってくれないか?」
ハヤト(驚きながらも嬉しそうに)「はい!もちろんです!」
山田(満足そうに)「よし、これからも頑張れ。期待しているぞ」
ハヤト、窓の外を見る。少し活気づいた街の様子。
ハヤト(心の中で)「よし、これからだ。この街を、もっともっと素晴らしいものにしていこう」
サクラ、遠くから微笑んでハヤトを見守っている。

第2話

第3話


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