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おおば屋さん

あさ6:30。寝起きでまだ少しぼ〜っとしながら冷蔵庫の野菜室を開けて、いつものように大葉の入ったビンをとり出す。

長持ちするように、大葉の根本だけが浸かるようにして少しだけ水を入れている。

蓋をはずして大葉をとり出し、ビンの中を軽くすすいで水を交換する。ぼ〜っとした頭で大葉をさわった手触りで、「あれ、増えてる」と思った。

そうだ。昨日母がくれたんだ。

そういえばこの前もくれたな。その前も。その前も・・・

ん?なんか会うときに毎回くれてないか?いつからくれるようになったのか思い出せないけど、少なくともここ3回はもらってる。

大葉はたしかに好きではあるけど「私といえば大葉」というほど浸透してるわけではないし、母もそうは思ってないと思うのだけど。手土産をくれるときに、最近はいつも最後に

「あとこれね。大葉」

と言って、くれていた。たぶんどこのスーパーでも売っている、大きさ不揃いのがたくさん入ったやつ。おそらくお買い得だったから私の分もついでに買ってきてくれたのだろうけど。

なんで大葉を必ず?と少し疑問に思いつつ・・・

なぜかいつも私が切らしているタイミングでくれるから普通にありがたくて、いつも「えぇ!ちょうど切らしてたから嬉しい。ありがとう!」と純粋に喜びながら受けとっていた。

・・・

あ、そういうこと!?私がお母さんの想像以上に喜んでたから買ってきてくれるようになったの??

なんて。実際はわからないけど、大葉の水を交換しながら急にそんなことが頭をよぎった。

実家で一緒に暮らしていた頃の私は、20歳を過ぎてもずっと反抗期みたいな態度で接していて、母の前では「喜びの表現」をあまりしてこなかった。

「おいしい」とか「(なにかを)好き」とか「ありがとう」とか、素直に言った記憶がほとんどない(最悪)。

だからたまに「おいしい」とか言うと、それをよく買っておいてくれたり。でも母の前で素直に喜んだりはできなくて、むしろ「またこれ?」とか言っちゃってたんじゃないかな。本当に、かわいくないにもほどがある娘。というかひどい。

だから、いままでの分も含めて、この場を借りてお礼を言おうと思います。

お母さん、ありがとう(直接言え〜)。

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