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葡萄酒の哲学│甘味屋餡子

今回の『葡萄と麦と米と芋』は2021年のオムニバス公演『サカナ!サカナ!』の一作品『丸の内OLの強盗未遂』がベースになっている。
『丸の内OLの強盗未遂』ではバルで飲む三人のシーンがあった。
今回はそのバルで飲む三人の風景が中心になってくる。

ケーキを海底のポストへ投函 第三回公演『丸の内OLの強盗未遂』の一幕
第三回公演『丸の内OLの強盗未遂』の一幕

お酒が飲めないので普段はあまり気にもとめないが、演目で扱うとなると急に情報が目に入ってくるようになる。

稽古前に立ち寄った書店で入門書フェアというものが開催されていた。
様々な少しお堅いジャンルの入門書・哲学の入門書や神話の入門とと一緒にワインの歴史の入門書が並んでいた。
つまり、ワインはただの嗜好品ではなく哲学や文学に近い存在ともいえる。
様々な文明でぶどう酒が生まれ、神話や聖書に登場し、ギリシャ神話にはワインと酒造の神・バッカスがいるくらい歴史は古い。

そんな長い歴史を誇るワインだが、日本でメジャーなお酒になったのは1972年のこと。
東京オリンピック・大阪万博を経て海外の食文化が広まり、外国産ワインの輸入自由化された流れをうけてワインブームが起きた。
そして、バブル期に高級ワインブームが起こり、この頃に騒がれるようになった「ボジョレーヌーボー解禁」はいまだにニュースになる。

よくここまで大きなニュースになるのは日本だけと言われている。
元々、本場のフランスでは収穫祭とあわさってお祭りっぽくなったと言われている。
これがバブル期の日本で今のようなお祭りになったという流れだ。

これには2つの大きな要因があると言われている。

1つは時差。
解禁日は世界共通同日なのだが、時差の関係で日本が最初に解禁日を向かえる。

もう1つは日本人の気質。
日本人は元々初物を珍重する。
初鰹をはじめ、初物は縁起が良く「初物七五日」と初物食いは七五日寿命が延びると言われている。
昔から鰹、鮭、松茸、茄子は「初物四天王」と言われたくらいだ。

つまり、バブル期のワインブームから始まり初物は縁起がいい、いや縁起もなにも関係なく初物なら口にしなくちゃという気質が「ボジョレーヌーボー解禁」というお祭りと合致したという訳だ。

初参加のゲストを迎えての稽古。

今回の『葡萄と麦と米と芋』は初めて演劇祭「名前のない演劇祭」に参加する。
前回の『BANANA SHOOTER』と比べて7人とコンパクトになっている。
しかし、その分描く人間模様は濃くなっている。
また、出演者も前回は大半が母胎である劇団Q+所属だったが、今回は劇団外の方が多い。
その分、また違ったマリアージュが楽しめるのが今から楽しみだ。

文:甘味屋餡子(役者)https://x.com/raincloud_017

🍷公演チケット販売中🍷
詳細やチケットご購入は特設ページから

🍺公演概要🍺
ケーキを海底のポストへ投函 vol.5『葡萄と麦と米と芋』
作・演出=堀伸也

[ 日程 ]
Day1. 2024年3月22日(金)  
 19:30 開場 / 20:00 開演
Day2. 2024年3月24日(日)  
 14:30 開場 / 15:00 開演
(上演時間は約1時間を予定)

[ チケット ]
・一般:2,000円
・高校生以下:1,500円
・リピーター割:500円

[ 会場 ]中板橋 新生館スタジオ
〒173-0016東京都板橋区中板橋19-6 ダイアパレス中板橋B1
(東武東上線 中板橋駅より徒歩二分)

名前のない演劇祭紫 参加作品
演劇企画集団「名前はない劇団」が主催・運営する演劇祭。第十五回目の開催となる今回は、北池袋・中板橋・池袋の3拠点での同時開催。13日間に渡り、68団体が公演を行う。

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