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廻り廻って|弓月玲

劇団Q+の有志ユニット「ケーキを海底のポストへ投函」の公演で私は、勝手に自分の中で脚本を書くルールを、ゆる~く設定している。それは何かというと、とりあえず自分の好きな物を詰め込んでみる、ということ。……うーん、どの作家さんもやっていることだから、取り立てて言うことでもないね。でも、劇団員たちで企画するというこのチャレンジ公演だからこそ、好き勝手させてもらっちゃう好機!というわけである。……こういうと、問題児と思われるかもしれない。そうならないように努力はしているのである。

さて、その好き勝手ルールについてもう少し言及すると、とくに、自分の好きな文学作品をオマージュ?パロディ?してみよう、というルールなのである。2019年の第一回公演で上演した「B-bot[Letter]」では、エドモン・ロスタンの「シラノ・ド・ベルジュラック」をモチーフにした。では、2020年の第二回公演は何をモチーフにしようか。公演全体のテーマは「変身」である。

「変身」というと、思い出深い文学作品がある。それを今回の脚本「メン・イン・ブック」のモチーフにしよう。実はずっと、いつかオマージュしてみたいと思っていた。そして今回のテーマにぴったりなのだ。

その作品は、何を隠そう、二十年も前に、私に物書きの夢を与えてくれた。中学校の国語の授業で出会い、文体、物語、作家の志のようなものに強く惹かれた。そんな私を見ていた先生が、私に「物書きになったらいい」と何気なく言ったのが、おそらく今の人生の発端だった。そう、あれから二十年、それなりの紆余曲折があったようには思うけれど、あの時の思い出が脚本なんぞを書くようになった今の自分を支えていることは確かである。

あれから二十年、中学生・高校生・大学生・社会人・その他もろもろ、思えば自分自身も変身・変容の連続で今に至ったものだ。けれど、次の何かを生み出そうというとき、立ち返る何かが自分の過去にある。次に進むためのヒントは、過去から積み重ねてきた自分の中にある。きっと、その何かは、変わらずずっと在る自分。変身、それは同時に、変わらないものは何かを自分に問いかける。

あの文学作品は、今も教科書に載っているのだろうか。はて。どんな作品かは公演当日のお楽しみ?……にしておいていただきたい。

#公演 #変身 #ケーキを海底のポストへ投函 #弓月玲

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