ワタクシ流☆絵解き館その1 青木繁「海の幸」②白い顔の二人の人物に託したのは…

画像1 不安なまなざしをした人物のモデルは、恋人福田たねと言われている。あの不安なまなざしに、青木繁はキリストの表情を描いたのではないだろうか。処刑される運命のキリストを思わせる魚を担ぐ男、足に傷のある男の顔は見えていない。こちら向きだったとして、合成してみたのがこの図版。
画像2 では、中央をゆく白い顔の男は?ここに復活のキリストを暗示したのだろう。目を凝らすとうっすら頭上に光輪が見える。そして暗く沈む人物群の中で、この男だけに海の彼方から来る光が全身に当たり、照り映えている。
画像3 そしてこの男に、青木繁は自分自身をイメージさせているのではないか。「海の幸」を描いた頃の顔写真を合成してみると、面影が通い合う。画家として立つ意志の強いメッセージを、キリストの復活になぞらえて示してみせたのが、「海の幸」だったのだ。

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