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ワタクシ流☆絵解き館その57 青木繁「わだつみのいろこの宮」山幸彦の顔には、ある仏像の面影が‥‥

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青木繁 「わだつみのいろこの宮」1907年 重要文化財 アーティゾン美術館蔵

山幸彦の顔が、この絵の大きなアクセントになっていると言えるだろう。豊玉姫と見初め合う肉感的な場面ながら、放心の表情とも、意志の表出を抑えようとしている表情とも見える。

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筆者は、山幸彦の顔を見ていて、きっと上がった眉から自然に興福寺の阿修羅像を連想した。改めて阿修羅像のさまざまな角度からの図版を眺めてみて、似通っているという思いを強くした。
興福寺の阿修羅像の、若々しく何かを思い詰めているような顔。そして、この像の表情はまさに、日本人の顔を映していると感じる。
有名な仏像だ。実見はしていなくとも、写真図版でなら青木繁は必ず目にしていただろう。
証拠は皆無だが、山幸彦と言う神話の人物を造形するにあたり、青木の脳裏に、阿修羅像が浮かんでいたと妄想してみた。こういう妄想もまた、青木芸術への面白いアプローチととらえて楽しんでもらえれば幸いだ。

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