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ワタクシ流☆絵解き館その105 逃げる伊邪那岐!ー児童読み物挿絵に見る「黄泉比良坂(よもつひらさか)」

今回は、青木繁「黄泉比良坂」と同じ場面ーつまり伊邪那岐が追手をかわして黄泉国から地上へ逃げ戻るシーンを、児童読み物の挿絵はどう描いたかを探ってみたい。
この場面も、伊邪那美・伊邪那岐神話においてはハイライトシーンで、いくつかの挿絵に探し当たった。
先ずは伊邪那岐が亡き妻、伊邪那美恋しさで、黄泉国を訪れる場面から。ここまでは夢見心地の伊邪那岐だったが。

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ここからは逃げ帰る場面。連続でご紹介。

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「わだつみのいろこの宮」の絵柄でもそうだったように、明治時代の絵は探し当たらなかった。伊邪那美の逸話を絵画化したものは明治の世からあると思うが、そういった書籍は現在では希少で、すぐには目につかないところにしかないのだろう。
改めて、青木繁の「黄泉比良坂」に目を移してみよう。黄泉醜女の摩訶不思議感、この世の者でない妖しさ、黄泉国と地上との空気感の差異を演出している点で、この絵の右に出るものはない。

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青木繁  「黄泉比良坂」 1903年  色鉛筆・パステル・水彩
東京藝術大学大学美術館蔵 

                    令和4年1月    瀬戸風   凪


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