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2023/3/31 試写会

14:30 北本着

Big-Aでお昼を買って、post で食べる。書き出しておいた映像データを確認。問題なく最後まで流れた。

16:00 中庭へ

機材や資料を持って中庭へ移動。オーナーに手伝ってもらいながら会場をつくる。通りすがりの人にも映像が見えるように、入口側から店の奥に向かって映像を投射することにした。準備をしていると近くで遊んでいた子供たちが入ってくる。「何してるの?」「映画ながすの?」と興味深々。遊びに付き合いながら準備を進める。インタビュー協力してくれた人に映像を見てもらうのは初めての機会だったため、緊張して半分上の空だった。
17:30を過ぎた頃からちらほら声をかけた方々が集まってくださる。店内に設置した十数個の椅子はほぼ埋まった。

18:10 上映開始

北本ビタミンの関係者以外の方も来てくださったので、映画制作にいたった簡単な経緯を説明する。

この映画のテーマである「北本ビタミン」は2008年~12年にかけてここ北本で開催されていたアートプロジェクトです。今はプロジェクトを運営していたほとんどの人が北本を離れ、活動もありません。
今となっては残片のない「北本ビタミン」ですが、全盛期の2010年ごろはとてつもないエネルギーを持ったプロジェクトでした。

私自身はまったく北本ビタミンに参加していたわけでなく、この研究を始めるまで北本という地名すら知りませんでした。

そんな私と北本を結び付けたのはプロジェクトを終わらせる/終わってしまったという経験です。
学部生の時に、運営に関わっていて半分遊び場のような場所だった大学のギャラリーが、予算の都合によりクローズしました。その最後の展覧会の企画を担当したのですが、今でも大切な場所をあっけなく失ったやるせなさと、企画したクローズ展が最後にふさわしかったのか悶々としています。

この経験から、プロジェクトが終わること、終わってしまったプロジェクトに関心を持つようになり、縁あって北本にたどり着きました。
この映画は北本ビタミンの関係者に話を聞き、当時の資料を見つめながら「北本ビタミン」がどんなプロジェクトだったのか、どんな人が関わって何を考えていたのか、アートプロジェクトが終わることとは、一体何が終わることなのかの考察を試みています。

上映の前説

再生ボタンを押して、私も客席に交じって映像をみる。字幕間違えてるな、大画面でみるとこのシーン長いな、なんて反省をしつつ、横で映像を見てくれている方々が笑ったりうなずいたり反応してくれているのが嬉しい。

上映後、感想や質問のやり取りをする。
今回の試写会には映像内の登場人物に肩書や説明をつける準備が間に合わなかったため、初めて「北本ビタミン」を知る人にとっては出てくる人の関係性がつかめず、そこがストレスになっていたようだ。とはいえ現段階の編集でも情報量が多く、字幕を追って理解するのが必死だったとの声もあり、さらに文字情報を追加するのか、バランスが難しいなと思う。映像内の情報を補うための冊子があってもいいのかもしれない。
上映に来てくださった「北本ビタミン」関係者たちの会話に交じる。現段階の編集では、ある種の結論としてアーティストユニットLPACKの「アのつくもの(アート)がない方が絶対面白いって思ったもん。アがつくものは無くていいんじゃない。」というセリフを使っているのだが、今でもアートプロジェクト界隈に身を置く人には、その言葉が刺さったそうだ。「アートプロジェクトがそこでできた人の繋がりを成果と言いたいのは、価値付けのためもあるけど、なにより自己承認欲求からだったのかも」とこぼす。映像にされたことで、それをまざまざと見せつけられた気がしたと言っていた。
他にも「過去ってこんなに殺伐としていたっけ」と苦笑しながら話していたり、映像をみた人たちのなかでそれぞれの「北本ビタミン」が立ち上がるのが面白い。「北本ビタミン」を知らない人にとっても、その人なりの「北本ビタミン」が立ち上がるくらいに編集/演出ができたらいいのだが。
また、当事者たちは映像に登場する人々の関係性を私より知っているからこそ、どの映像に誰の声をあてるかといった私の編集の手つきが見えてくるらしく、それも面白いと言っていた。だからこそ今日の試写会は緊張したのだが、概ね好意的な意見で一安心。

上映に来てくれた同世代の人たちと話す。
地元で何が起こっていたのか、全然知らなかったからこの映画を見れてよかったと感想をもらう。上映直後、映像の最後に「北本ビタミン」を知らないが今北本で活動している人たちにフォーカスをあてたシーンをつくったらどうかとの提案をもらったのだが、まさにその属性にあたる同世代の人からは、「それは見た人たちが受け取って考えるものだから、無理に映像内に入れなくていいと思う」と伝えられる。

その後も入れ替わり立ち代わり、上映に来てくれた人たちが感想を話してくださる。やはり「北本ビタミン」を知らない人にとっては、もう少し丁寧な説明と、ドラマというか、わかりやすい盛り上がりポイントがあると見やすくなるのかもしれない。

たった1回の試写会で映像の共有ができただけでなく、編集の相談相手がぐっと増えたような感覚だ。試写会を開くこと、感想をもらうことは大切だなと、当たり前のことを実感する。
しかもみなさん真剣に映像をみてくれて、感想をなんとか言葉にしようとしてくれることが伝わってきて、とても嬉しい。こまめに連絡をしたり、週1で北本に通ったり、地道に関係性を築き続けてきたからなのだろうか。私が「北本ビタミン」を自分事のように考えて悩むように、映像を自分事のようにみてくれていたように思う。ありがたい。

また試写会をしてみて、この映像制作プロジェクトは上映自体が「北本ビタミン」を掘り起こすことになる、「北本ビタミン」をフィードバックさせる仕組みになっているんだと気が付いた。上映が弔いの儀式になり得る的な。だからこそ、完成した暁には今日の試写会に来れなかった多くの人たちに見てもらいたいなと思う。

試写会に足を運んでくださったみなさん、改めてありがとうございました。


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