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2023/5/16 インタビュー@北本

11:30 北本着

post に荷物を置いて買い出し、インタビューの準備。

13:00 Kさんインタビュー

てと2階、post の横の部屋にて市役所職員のKさんへインタビュー。2011年から「北本ビタミン」の担当課へ移動になり、現場の手伝いなどをされていたそうだ。インタビュー前に質問リストをお送りしたところ、それに対する回答文を作成してくださった。当時の議会議事録のQRコードまでつけてくださり、ありがたい。
wah document が団地の子供たちと一緒に船をつくり無人島へ行くプロジェクト「はみ出し探検隊」のお話、アーティスト小坂学による世界一大きい腕時計をつくるプロジェクト「World Record Watch」にまつわるお話など、担当していたプロジェクトについてお話を聞く。Kさんのご都合もあり、14時でインタビューを切り上げる。

15:00 Jさんインタビュー

post 横の部屋にて市役所職員のJさんへインタビュー。JさんもKさんと同じく2011年から配属移動で「北本ビタミン」の担当になった方だ。今も市役所に勤めるJさんは公金を使うこと、役所内で必要な手続きや書類仕事にとても厳しいそうだ。だからこそ、「北本ビタミン」の担当になった当時は、何もかもが未整理のまま進んでいく「北本ビタミン」を「危険」「意味がわからない」と思っていたと言う。

16:00 Lさんも合流

Lさんも合流し、JさんLさん2人にお話を伺う。Lさんは以前北本市役所に勤められており、KさんJさんと一緒に「北本ビタミン」の担当をされていた。
主に伺ったのは記憶にのこっているプロジェクトについて。お二人とも真っ先に挙げたのは「はみ出し探検隊」だった。
2011年、「北本ビタミン」の担当が役所内の生涯学習課から産業観光課に移り、お二人が担当になったときにはすでに団地の公園で船の制作が進められていたと言う。いつ完成するのか、制作した後はどうするのかも未定のまま進んでいたプロジェクトに笑うしかなかったそうだ。アーティストの wah document からはつくった船で子供たちと出航したいと言われたが、役所としては当然船の出航に反対。素人が改造してしまった船を、3.11直後に、海に浮かべて子供たちを乗せるなんて、何かあったら誰が責任を取るんだと上司や議員から詰問されたという。
しかし「はみ出し探検隊」の子供たちは、自分たちで作った船に乗る気満々。「はみ出し丸」の出航は、子供たちの夢そのものであったそうだ。
当時の様子についてJさんはこう振り返る。

子供たちの夢を阻止するっていうことは、それだけで悪党じゃないですか。この船に乗るんだって船を作っている子供たちに対して、大人が、夢はかなわないものですって教えていいのか?

インタビューより

安全面から出航に対する役所の意見は厳しかったが、なんとか調整し、出航を認めてもらえる条件をひとつひとつクリアしていったそうだ。
プロジェクト実施のために奔走してくださったJさんLさんだが、「北本ビタミン」全体に対しては、説明のつかなさや議員や市民を納得させるストーリーの乏しさなど、厳しい意見も持ち続けていたことが話を聞いていて分かった。
「個人的には北本ビタミンでやっていること、面白いと思っていたんですか…?」と遠慮がちに尋ねてみる。「面白かったよ。だって普通役所でできないようなことばっかりだったもん」と即答。あまりのストレートさに数秒間、返す言葉を失ってしまった。
調査の参考にと、Jさんは議会議事録や当時の役所内での会議議事録などを持ってきてくださった。「北本ビタミン」に関する役所の内部資料を手にするのは初めて。かなり辛辣な意見が続く議事録も多いが、どうすれば産業観光課の事業フレームに落とし込むことができるのか、奮闘している様子が垣間見えた。

18:00 ご飯会

インタビューを終え、北本市役所のシティプロモーション課の方々も合流。上映会の打ち合わせがてら、てと2階でBBQをする。先月末北本市長選があったのだが、その影響で課内の人事が少し変化したようで、相談会のようになっていた。
役所の仕事をほぼ知らない私は、時々質問を挟みながら話を聞く。衝撃的だったのは税務課のお話。税金滞納者のもとへ差し押さえに行ったこと、「税金泥棒!」と罵倒を浴びせられたこと、差し押さえられた人が窓口に怒鳴り込みに来たこと…。今日明日の生活が懸かっている人たちを目の前にして働いてきたお話が、想像以上に生々しかった。そんな課がある一方で、税金を使って効果が目に見えづらい文化事業やまちづくりを進めている課も市役所内にある。税務課からみるとシティプロモーション課の事業などは「ふーん、やってんなー」みたいな、斜に構えた感じでしか見れなかったそうだ。事務仕事ばかりというイメージを持っていた役所の仕事は、こんなにも過酷で人間と対峙する職場だったのかと驚いた。
芸術は物理的に命を救えない。お金がかかる割に費用対効果は目に見えづらい。でも人々に強烈な夢を見せること、普段繋がらないような回路がつながり、誰かの気持ちを救うことはできる。そうした芸術の限界と効用を認識することや、役所という組織内でその認識を共有することは難しいんだなと改めて実感した。

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