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100 日付変更線を超えたとき

 突然だが、私の部屋はスーツケースを十分に開けるほど広くはない。もう一つ隣の広い部屋を貰うチャンスは何度も訪れたのだが、広ければそれはそれで、把握しておかなければならないスペースが多くなってしまい疲れそうだ。

 スーツケースはベッドの上に載せてしまえば開けるのだが、汚れているだろうしなんだか気が引ける。

 少し部屋を見渡してみると、1か月は使っていないであろう加湿器が目に入った。彼を掃除して、フィルターも洗い、夜にまた箱を取り出してしまおうとしてみた。

「また一年後よろしくね~」だなんて呟きながら箱に詰め直そうとして見たけれど、日付変更線を超えて大学生の肩書が剥がれ落ちていった私にとってそれは、意図せずになんとも心のなかで反響する言葉となっていった。

 また決まった日に会おうね、だなんてなんとも無力な言葉だろうか。


 

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