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形式主義、やめませんか?

この記事は、主に厚生労働省や労働基準監督署にお勤めの方に読んでいただきたい。少子高齢化、労働人口の減少が続く日本が成長していくには、無駄な仕事をなくし、生産性を上げていく必要があります。生産性を下げる要因として、今回は私が実際体験した労働関連の事例を取り上げます。特に人事や総務の方で関連する仕事に携わった方は納得いただけるのではないかと思います。
以下、形式主義的な法律上求められる行為の一部を列挙します。

  • 36協定の締結(いわゆる時間外労働を行うための労働者代表との協議書)

  • 一般事業主行動計画

  • 派遣労働者を受け入れる期間を延長するために必要な労働者代表の意見聴取と派遣元に提出する事業所抵触日の通知(労働者派遣形式上3年しか利用ができず、労働者代表の意見聴取を持って何度でも延長は可能)

  • 派遣元に提出する待遇情報通知(労使協定方式のみ:教育訓練と給食施設、休憩所、更衣室の有無)

  • 派遣事業者のマージン率公開

  • 職業紹介の業務運営規程

どれもこれも、「本当にそれ必要?」というものばかりです。正直言って使用者も労働者も誰も興味のない内容です。例えば、「36協定」は聞いたことがある方もおられると思いますが、それを採用面接で聞いてくる人なんて見たことがありません。その仕事はどのくらい残業があるのかだけで十分です。ぶっちゃけ、聞いた人は敬遠されてしまいます。
そもそも、聞いたら敬遠される法令っておかしくないですか?

こういった法令行為に興味があるのは定期調査に訪れる労基署の指導官だけではないでしょうか?そんなこと言ったら、日々頑張って指導されている皆さんに失礼かもしれませんが、できれば腹を割って話したい。本当に必要だと思って指導されているのかを。
そして聞いてみてほしい。法令を満たすために仕事をしている人たちが、どういう思いでしているのか。みんなコンプライアンス順守のため「仕方ない」と思ってやっているはずです。
でも仕事って本来「仕方ない」と思ってやるものではない。人のため、誰かのためになると思えるから楽しいし、やる意味が出てくる。誰のためにもならないと思うことをやるのは、はっきりいって苦行でしかない。

国は本当に必要なことを法令として周知し、それは誰が考えても(少なくとも大多数が)必要と思えるものであるべきだと思います。私が労働関連に携わっているので余計にそう思うのかもしれませんが、どう考えても大多数が不要と思えることばかりが、手続き上必要とされているように思えてならないです。
労働関係法ではよく「労働者代表や組合との協議」を必要とされるようなことがありますが、組合がちゃんと機能している会社はまだいいのですが、そうでない会社はいわゆる労働者代表制度自体が形式的になっていると思われます。労働者代表選挙をすると、まず何のためにやるのかわからない人が大多数で、そして説明したところで皆さん無意味だと感じています。今ではそのような会社の方が多いのではないでしょうか。

ぜひ、法令を検討する立場のある方、その法令で、現場に何が起こるのか。正しくできるのか。生産性はあがるのか。本当に意味があるのか。考えていただきたいです。

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