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拝啓、フースーヤ様に感謝

かつて、自分の長所は「明るいところ」だったと、彼らが思い出させてくれました。

フースーヤの五十音

私がフースーヤと出会ったのは、7年ほど前(2017年ぐらい?)でした。
毎週観ていた深夜のお笑い番組で見つけて、全力ギャグのおもしろさにハマってしまいまいました。
彼らのYouTubeに「フースーヤの五十音」という動画があって、
五十音からはじまるギャグを披露するという動画なんですが、
当時それを何回も観てゲラゲラ笑っていました。

その頃、「京都国際映画祭」というイベントで、お笑いステージがありました。
そのステージに、先輩芸人さんに混じってフースーヤの姿がありました。
ずっとハイテンションな2人。ステージの後、なぜかフースーヤと写真を撮ったり握手をしたりできるブースができていたので、一緒に写真を撮ってもらいました。2人は相変わらず、ずっと何かと喋ってくれて、「おもろお兄さん」という感じでした。(歳も4つ上ぐらいかな)

テレビで見なくなった時期を超えて

今でこそお笑い芸人さんのYouTubeやラジオを見たり、時々劇場に行ったりしていますが、
私にとってお笑いはずっと「テレビ」で「ネタ」を観るものなのです。
フースーヤは、世間では消えたとか言われていたようですが、
私にとっても、テレビで見なくなってしまったことで、いっときほどのブームが去ってしまいました。
そんなある時、2019年ぐらいかな?彼らがとあるコンテストで漫才をしている動画をYouTubeで見つけました。
感動しました。おもしろすぎたんです。
変わらず全力でギャグを披露する変わらない姿と、
劇的にブラッシュアップされたギャグを畳み掛ける進化。
「変わらないでいてくれてありがとう」と思いました。

いつだったか、彼らがナイツのような漫才をしたいけどできなくて、今のスタイルにした、みたいな話をしていたことを思い出しました。
「やりたいこと」と「できること」の違い、これを認めて、
できること、向いていることに全力を尽くすことの素晴らしさ的なことを考えたんですが、この考察は今、大きく覆っています。

フースーヤサクラバシ919 WEEKEND STYLE

私が毎週聴いているラジオがあります。金曜日の23時から放送されている、フースーヤサクラバシ919 WEEKEND STYLE(ラジオ大阪)です。

フースーヤの2人が、
毎週リスナーから送られてくるクオリティの高いギャグや
純度の高いちっちゃい怒りメール、アホくさいモノマネのお題などを
テンポよく紹介しながら笑かしてくれるラジオです。
しょうもなくもほっとする時間が大好きで、私自身もたくさんメールを送っています。

そして何より、毎週変わるテーマメールへの彼らのリアクションがとても興味深いと思います。
とっても「常識がある」んです。

前から漫才を見て思っていたのですが、
使う言葉に品があって、テーマが万人に分かりやすくて、常識的な感覚を持っていて、だからこそ、
「何が常軌を逸しているか」「何が正気じゃないのか」の解像度が高いギャグになるんだと思います。

ラジオでは、職場の人への愚痴から恋愛話、生活での不満などいろんなお便りに対して、人間らしい喜怒哀楽と勧善懲悪みたいなリアクションで、
しかも必ず笑いに昇華してくれる信頼感がめっちゃあります。
友達と話しているような、そんな安心感さえ帯びています。
ギャグ漫才だけ見ていたら、そんな真面目な話しようと思わないでしょう。
ラジオを聴いて初めて言語化できた、彼らの魅力でした。

M-1グランプリ、NHK上方漫才コンテスト

昨年の秋、劇場の寄席公演で、うん年ぶりに生フースーヤを観ました。
劇場でしかできないネタ、いつもと少し違うネタをされていて、それもめっちゃおもしろかったです。
思えば、M−1グランプリを勝ち進んでいた時期で、いろんなネタで勝負をしていたんだと思います。

そんなフースーヤですが、やっとのことで、評価されてきています。
M-1グランプリでは、決勝進出こそ叶いませんでしたが、
敗者復活戦は大きな話題となりました。私も配信で観て、私も体痛なるぐらい笑いました。

そして今年、初めて(?)賞レースで優勝しました。NHK上方漫才コンテストです。
勢いの圧倒されている間に終わるので、賞レース向きじゃないと言われ続けた独特のギャグ漫才ですが、私は、そんなことないぞとずっと思っています。
でも、もし、そうだとしたら、彼らのこれまでの歩みによって、「フースーヤのギャグ漫才」が「異質なもの」でなくなったんだと思います。
何を今更、と思いつつ、これだけの時間が、場数が、評価の土俵に立つことを「認めさせたんだ」と思います。

彼らはギャグに固執しているのではなく、おもろいとほんまに思っているから純粋にやり続けているだけなんだと、感じました、
だから、何年か前に思った、「やりたいこと」と「できること」のギャップとか実は関係なくて、
おもろいと信じて、楽しませたいと思って、「やりたいことを全力で」やり続けているんだと感じている日々です。
ずっとおもろお兄さんでいてくれて、ありがとう。

まとめにかえて

お笑いって、お笑い芸人って、よく考えたら変やと思います。感情の名前がついているコンテンツ・職業って他にないでしょう。
人はどんな時に笑うかというと、必ずしもおもしろい時楽しい時だけじゃなくて、
皮肉とか他人の不幸とかでも笑えます。意味がわかってからフフフと笑えることもあります。
でもやっぱり、子供の時みたいに、楽しいから笑いたい。おもろいから、こみ上げる笑いに従いたい。

こんなにも何年もフースーヤで笑える私は、笑うのが好きなんだと思います。
かつて自分の長所を聞かれたら「明るいところ」って答えていたのに、
いつしか自信がなくなっていたことに気がつきました。
でも、ほんまはブラックジョークより、ネガティブに浸るより、
フースーヤみたいな、こんなんが大好きやねん。
あぁ、私の良いところって明るいところやったわ。
そう思い出させてくれました。

手放しで笑える。お笑いという異質なエンターテインメントを、
純粋に笑えるものにしてくれている彼らが、みんなの笑いだけじゃなく、
たまには順位として、評価されてほしいと心から思います。

明日はABCお笑いグランプリ決勝です。
応援したい芸人さんは正直いっぱいいるけれど、
フースーヤ、「いい加減にしろ」で締まるわけない、
開きっぱなしのスタイルで、行ってらっしゃい!

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