上沢直之と炎のスプリット
上沢投手の特徴
ずっとOAK上沢を熱望していて色々調べていたので、備忘録を含めてnoteにします。まず上沢投手の特徴から考えます。
①低球速ながらホップする4シーム
上沢投手が最も注目を集めているのは4シームの特異な球質にあります。速球の球速は90.8マイルとMLBではかなり遅い部類にありますが、19IVB(どれだけホップしたかを表す指標)はブレイク・スネルと同程度のレベルです。この4シームはNPBでも絶大な効果を発揮しています。
速球の空振り率で言うとNPBでは山本由伸と同水準です。速球の球質自体はカット気味に動くまっスラ系なのではないかと推測されます。
②ゴロを誘う多彩な変化球
上記が上沢投手の球種一覧になります。セカンドピッチのフォークは被打率.200と効果を発揮しているものの空振り率15.80と特筆するほどではありません。他の球種もそこまで突出した空振り率を記録するものはありませんが、被打率はフォークとカーブ、そして時々投げるチェンジアップも被打率が優秀で、打者を打たせてとる役割を果たしていると考えられます。
③4シームと球速差のないスプリット
4シームの球速はMLBでも低い部類にありますが、セカンドピッチのスプリットは86.6マイルが平均でMLBでも平均クラスにあります。ホップする速球との球速差があまりないスプリッターはMLBでも打者を翻弄できる可能性は高いと思います。
④コントロールの良さ
上沢は通算与四球率7.5 %とNPBでもトップクラスの成績を残していることからもわかるようにコントロールの良さが持ち味です。この制球力を背景に奪三振率こそ平均レベルですが2023年のK/BBはリーグ4位でした。
上沢の傾向に近いMLB投手
次に先程述べた上沢投手の特徴に似たMLB投手を挙げてどのように打者を討ち取っているのかを調べました。見出しにある成績は直近3年間のキャリアハイで、レパートリーもその年のものを反映しています。
①ディラン・バンディ (2020年 6勝3敗 ERA3.29)
高回転数、まっスラ気味、大きくホップする92マイル以下の右投手という点では、バンディが最も上沢投手に似た速球の持ち主と考えられます。シンカー(ツーシーム)を投げる点でも共通しており、変化球は縦変化の強いスライダーとチェンジアップがメインです。バンディの速球は90マイル台の年でもstuff +(球質を測ることを目的とした指標)で平均レベルを記録しておりこれだけの数値を上沢投手も記録できれば活躍できる可能性は広がると思います。
②ロス・ストリップリング (2021年 10勝4敗 ERA3.01)
上沢ほどの回転数はないものの上方向への動きや球速帯を考えるとストリップリングも似たタイプの投手だと考えられます。ストリップリングの最大の強みは速さと横変化を両立させたスライダーにあります。87マイル台のスライダーは92マイル程度のフォーシームと大きな球速差がない点も脅威で、横と縦で違いはあるものの上沢のフォークも同じような役割を果たすことが期待されます。
③その他
話として被るので割愛しますが同じ球速帯で勝負する投手としてクリス・フレクセン(2022)、ザック・プレサックなどが挙げられます。しかし、このタイプの投手は昨年軒並み不振という懸念材料があります。原因等はよくわかりませんが絶対的な速球を持ってないため細かいレパートリーの変更などで成績の変動が起きやすいタイプなのかなとは思っています。両者とも球速と横変化を両立させた球をメインに扱っている点ではストリップリングとタイプとしては同じです。
鍵になるのは第3球種?
ここまで上沢投手に似た系統の選手を紹介してきましたが、調べていくうちに上沢投手の活躍は第3球種が上手くハマるかどうかが重要な気がしました。現在、フォークと同じくらいの割合で投げているスライダーはNPB でも被打率があまりよくなく、MLBでは更に打たれる可能性が高いのではないかと考えられます。先程似た系統の投手として挙げたストリップリングもスライダーと同じ割合で投げていたチェンジアップが劣化したことでスライダーを多投することになり成績が悪化したと分析する記事もあり、上沢もフォーシームとスプリットの次に何をメインに扱うかは非常に重要だと考えられます。
候補としては被打率の良いカーブとチェンジアップが挙げられますが、ここではカーブに注目したいと思います。先程紹介したトレーナーとの対談のなかで上沢はカーブに関してもイメージは縦スラで球速を上げたいと話していました。握り等もわからないのでこれ以上の推測は難しいですが、これはストリップリングが空振りを奪う球種として縦に曲がる速いカーブ「デスボール」を習得したことと通じるものがあります。技巧派投手の新たなステージとしても上沢のカーブは気になるところです。
おわりに
あえてレイズとのマイナー契約を優先した上沢投手でしたが、投手育成が上手いという以外にもレイズに所属する利点はあります。まず投手有利な球場である点です。レイズのホーム球場はMLBで5番目に投手有利だとされており、どうしても長打のリスクを抱える上沢投手には大きな追い風になるでしょう。また、外野手もホゼ・シリ、ランディ・アロザレーナ、ジョシュ・ロウと名手が務めておりこの点も上沢投手を援護してくれるでしょう。
上沢投手のMLB挑戦には比較的にネガティブなコメントが多く、事実他の選手とは1段下がった契約をしています。現代ではデータが発達して選手のネガティブな側面を発見しやすいですし、そういった予測を否定するつもりもありませんが、データが発達している現在だからこそ選手が通用する突破口みたいなものも見つけやすいことも事実です。僕も色々調べるまでは上沢は厳しいのではと思っていたので偉そうなことは全く言えませんが、藤浪を応援している時に「素質的に大したことない」や、「全然練習してない」などと根拠の薄い批判に怒りを覚え、現在1番マイナーと瀬戸際の選手を大量に抱えている球団のファンとして、選手の良い面を発信する側でりたいなと思う今日この頃です。僕が予測した上沢(OAK)は実現しませんでしたがレイズの方が競争は厳しい反面活躍できる可能性が高いとは思うのでこれからも活躍を注視したいと思います。
参考サイト
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