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輪を乱す子への対応

輪を乱す行動をわかってやっているのか、無意識なのかと考えてみると、子どもの場合は多分無意識なのだと思います。

例えば、みんなが座って話を聞いているのに一人だけ立ち歩いたり、話している内容とは違う話を急にし始めたりする。

着替えなんてちゃっちゃと終わらせれば良いのに、そしてやればできるのにいつまでも取り掛からないでふざけてる。

それらの行動の理由は、関心があちこちに飛んで集中しにくい特性や、自分にアテンションを向けて欲しいという無意識の欲求ではないかと推察しています。

理由がどちらにせよ、そういう行動をする子ども達への対応が、キツめの言葉を使って指導的に協調行動を取らせるばかりになるのは避けたいところですね。

言葉で言うのは簡単、実行は本当に難しいですが、集団生活には必要なマナーであっても「やらされた」という感覚を強く抱いてしまったり、外から与えられる強めの動機がないと動きにくくなったりすることを懸念しているのです。

集団から離れたくなった子ども達のなかには、本来の自分の意思とのギャップに心のどこかで気づき、自分で決めて歩む流れを取り戻そうとしている子がいるように感じるからです。

では、どうしたら良いかを私なりにまとめてみました。

まず、

言葉以外の方法を使う。

言葉を発するのは簡単ですが、聴覚優位の場合は過敏に反応して、より反協調的な態度を取るかも知れません。表情・声色・視覚情報・サインなどを用いて伝えることも一案です。

伝えるメッセージを肯定文にする。

「〇〇しません(例 走りません)」という否定文よりも「〇〇する(歩く)」「〇〇します(歩きます)」の方が絵に描きやすいですよね。

絵に描きやすいということは、イメージしやすく行動に結びつけやすくなります。

前もってルールを伝えておく。

その場にいる全員に守って欲しいルールを、出来るだけシンプルに決めて伝えておきます。輪を乱す子だけではなくて、それ以外の子にも伝わるようにしたり、NG例をわざとやって見せて輪を乱してしまう子に「こんなふうにする人がいたらどう思う?」と聞いてみるのも意識付けになるでしょう。

話を聞くときは座る。そういう意識を持っているだろうと期待してしまいますが、もしかしたら「みんなが座って静かにしている時には自分のアピールチャンス」そのように本能的に反応している子もいるかもしれません。

その場合、話を聞く、お話しを楽しむということよりも、自分の欲求を満たすことが行動の目的になっているので、あまりにそのような行動が続く場合は、いくつかの場面で観察し、できる対応を実践した上で周りの大人や保護者と一緒に、対応を考えていく必要があるでしょう。

なにを目指すのか

シンプルなルールを守れるようになったら、それはルールではなくマナーになってきますね。

ルールは少ない方が良いな。
マナー守るのは少し我慢も必要だけど、自分も嫌な思いをすることが減るな。

そんな風に思ってくれたら…。

そこまでは時間がかかるかも知れませんが、その意識を持てるように関わり続けてゆきたいものです。

内発的動機と外発的動機

外発的動機、つまり強く叱られたり注意されるなど外からの刺激が行動のスイッチになる、このようなパターンを繰り返していると、自我が芽生えてきた頃に周りの大人に対して懐疑的になってしまうことがある。

あくまで私の経験と私の感覚からの考察ですが、そのようにとらえています。

状況判断が苦手であったり、わかっていても行動を起こすのに人より時間が必要だったり、過敏さを持っていて注意散漫になりやすかったり、日常的に子どもの立場では消化しにくい怖い体験をしていたり…

そういう背景があると、より明確なものに傾倒しやすく、自我がむくむくと立ち上がってきた時に「やらされてる感」を持つなどにより、より協調的な行動が取りにくくなったり、行動を起こす時に過緊張になりやすかったりして、心が疲れてしまう。

不登校もそうして起きる場合もあると感じています。そこで大切にしたいのが内発的な動機。

やりたい!という明確な発信はハードルが高くても、「なんとなく気になるな」「ちょっとのぞいてみようかな」「やってみてもいいよ」「やってみようかな」このような「やりたい」までのスモールステップを大切にする。

応援できない行動を欲した場合には、中止ではなく停止させて一緒に考える。

そういう関わりを持ってもらいながら自分で決める。その積み重ねが、内発的な動機を持ったりその場面毎の判断を自分で行う力、自律につながる要素となってゆくと感じています。

まとめ

ただ、危険な状況ではルールを守ることが命に関わるのでそれは確実に教える必要があります。

その上で「みんなで何かを一緒にするのって楽しいね」「意見が食い違ってもそれはそれで思いがけない顛末になるのもいいよね」そんな風に感じられる体験をたくさんしてほしい。

楽しむことが苦手な子もいますが、幼児さんをみていると、どんな子でもやっぱり誰かと一緒に何かをすることを本能で欲しているようにみえます。

頻度や濃さはそれぞれですが、その子が心地よいと感じられる関わりを増やすことが、ルールを守る気持ちを育てることにもつながってくると思っています。

ひとり一人に合った教育環境の実現を目指します。