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ウエスト・サイド・ストーリー

スティーブン・スピルバーグ監督 映画『ウエスト・サイド・ストーリー』明日2/11公開

『ウエスト・サイド・ストーリー』


1961年版の同名映画、あれだけの素晴らしい映画を、スティーブン・スピルバーグがあえて映画化するとはどういうことか? とても興味あり期待でいっぱいです。
決してリメイクではない。今ここの意味があるはず。

<スティーブン・スピルバーグ監督の主な作品>   TV『刑事コロンボ』映画『ジョーズ』『未知との遭遇』『E.T.』『ジュラシック・パーク』『シンドラーズのリスト』『インディ・ジョーンズ』『プライベート・ライアン』『硫黄島からの手紙』など幅広い作品を監督している。1946年12月生まれ。75歳。アメリカ国籍。

<ウエスト・サイド・ストーリーとは>  1957年、ブロードウェイでミュージカルとして上演され大成功を収め、1961年映画化されました。原作はジェローム・ロビンス。彼が原作・振付を行いました。当時のアメリカの優れた才能が結集してミュージカル舞台が作られ、ほぼその製作メンバーが映画化にあたり映画も大成功。ストーリーと音楽・ダンスが一体化した濃い映画です。


以下、熱い推しのポイントをしたため、映画『ウエスト・サイド・ストーリー』をお勧めします。


まず音楽♪


レナード・バーンスタイン作曲のすばらしきナンバーはそのまま。すべて聞きごたえあるなかで、特に有名な”Tonight”。この曲は、きっとどこかで聴いたことがあるはずです。男女が今夜会える喜びを歌っています。ロミオとジュリエットのような、バルコニーでの場面が有名。

こちらPR動画の最初に、”Tonight”の出だしがちょっとだけ歌われています。


そして”Tonight”の歌と、戦いに向かうチンピラ集団の歌など、複数の旋律がひとつに集まってひとつの曲になっていく“Tonight (Quintet)” 「トゥナイト(五重唱)」。これは交響曲も作曲していたバーンスタインの才能が溢れる素晴らしい曲。音楽と場面展開が同時に進んでいく、映画音楽として最高傑作ともいわれています。小学校高学年だった私は本当に惚れ惚れしてしまい(何十年前だろう・・・w)、サウンドトラック版のカセットテープを図書館から繰り返し借りて、毎晩聴いた思い出があります。
新作映画では、クラシック界で超人気の指揮者、ドゥダメル(ベネズエラ人)がオーケストラを指揮しています。ちなみに、ドゥダメルは、ベネズエラが国を挙げて貧しい家庭も含めて音楽を教える"エル・システマ"にて教育を受けた人。とても情熱的なパッションを持った指揮者です。

そしてダンス!


原作ジェローム・ロビンスが舞台・映画とも振付けし、当時はジョージ・チャキリスがキレッキレで惹きつけていました。現代風にするために振付が一番変わるだろうから興味津々。

ストーリーとダンスが一体化しているので、お話が不自然さなく展開していきます。だからミュージカル嫌いのひとも敬遠しないで観てもらえるものと思います。

下記は1961年映画。赤いシャツを着ているのがジョージ・チャキリスで、対立する不良チンピラ団のひとつ、シャーク団のリーダーです。

画像1

動画3分20秒あたりに上記写真のシーンがあります。

ストーリー☆


シェイクスピア『ロミオとジュリエット』をベースに、1957年舞台ミュージカル・1961年映画で扱われたテーマは様々です。肌の色・男女・出身国などの差別や偏見、新天地アメリカでの期待と不満、復讐や争いの無意味さ、そしてお互いを大事に愛することや神の元の平等の尊さ、手を取り合い自分達で新しい社会を創っていく息吹・・・などが盛り込まれていたのです。歴史的にみると1945年に終わった第二次世界大戦と1965年から始まるベトナム戦争の間。アメリカは経済的な発展を続けて生活が豊かになる一方で、都市化が進んでいくなか、経済的な格差も出てきました。

2010-20年代にはどんなテーマが盛り込まれているか、どんなメッセージをスピルバーグが込めているのでしょうか。人種や経済格差の問題は絶対入っているでしょうね。

とはいえ、もともと『ロミオとジュリエット』の恋愛ストーリーが中心にあります。お互いを理解して愛すること、それがメインとなることは間違いないでしょう。

リタ・モレノ


リタ・モレノは現在90歳。1961年版の映画にも、今回の映画にも出演しています。前作では主人公マリアの姉、そしてシャーク団リーダーの彼女役として存在感のある重要な役どころで、アカデミー賞助演女優賞を受賞しました。彼女自身がプエルトリコ人で、その誇りが歌やダンスから感じられました。新作ではドラッグストア店主。これまた鍵になる役どころなのも注目です。

1961年公開の同名映画


そして最後に、新作とともに1961年の映画も観ていただけたらなぁ。昨年末どこかのチャンネルでTV放映していて、緻密で無駄のない展開ゆえ、何回か観たことがあるのに私は最後まで離れられませんでした。昨年の感想は「驚くほどいまと共通するテーマが描かれている」ということ。

旧作と新作、両方みることでメッセージ性がさらに高まるのではないでしょうか。これら2作をご覧になったら、思うところが何かあるはずです。スピルバーグがなぜ取り上げたのか、その狙いを深く理解できるかもしれません。

50代以上の方は、リアルやTV放映などで旧作をご覧になった方が多いでしょう。40代の方も観ている人が多いのでしょうか? 自分達が若い時にみたものと、今回の新作との違い・共通点を見つけることになるでしょう。

旧作を観たことがない方や、10代・20代・30代の方は是非楽しんでスピルバーグ作に触れてください。そして、旧作を無料で見られるチャンスがあったりしたら是非ご覧になってみてください。へぇ、こんなこと昔はやっていたんだ、という笑いがあったり、幼く素朴だなぁと思うことや、おなじやん、と思うところがあるはずです。いまの世界だけでなく、過去の世界にも、思い悩んだ人たちがいたことや、新しい世界を創ろうとしてきた若者がいたことを知ってもらえたらと思います。


おまけ_映画を観たあと、おすすめの本

社会の分断をこえて、新しい世界をつくっていきたいと考えたとき、こんな本がおススメです。あなたの違和感をないものにせず、争うのでもなく、その違和感があるところを大事に扱いつつ人とコミュニケーションをとることについて書かれています。

いろいろと書きましたが、とにかくスピルバーグの『ウエスト・サイド・ストーリー』を観てみましょう。きっと素敵な時間になり、観てよかったと思う一作になることでしょう。

バーンスタインが指揮している動画。この音楽と群舞がセットになっている映像。そそられませんか?


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