ドリルはダメという風潮について

やってたことが隂山メソッドと共通してたので隂山メソッドの英語部門を担当するようになりましたが、別に自分の立ち位置関係なく「活動の中でしか単語を覚えてはいけない」という現在の風潮には危険を感じます。

もしそれが絶対の正解なら、なぜプロスポーツ選手は競技の中で筋トレをしないんでしょうか。
むしろ競技外で徹底的に体を鍛え上げてますよね。
大学野球に行くのとプロ野球に行くのとでは、体つきが全然変わってしまうし、そもそも選手としての力量のステージが違ってしまうのだ、という話は有名です。
整形外科の医師も「スポーツの中では筋トレはできない。複雑な動きの中で弱い筋肉をピンポイントに補強することは不可能で、むしろ怪我をする」と言ってます。

音楽では、どうでしょう。
ピアニストが練習曲を弾かないなんてことがあるんでしょうか。
むしろ毎日、何時間も徹底的に指のトレーニングをしてるのでは?
フジコ・ヘミングくらいじゃないでしょうかね。
「本番の曲を練習する中で鍛えてるから、いいのよ」
とか言える天才はさ。
ちなみにわたしは、単に練習が嫌いだから好きな曲しか弾きませんが、超難解フレーズだけは数百回ドリルします。
おかげで何回か、ラジオで自分の作曲・演奏を流してもらえるところまでは来ました。

さて、ひるがえって、英語のインプット。
クラシェンがi+1を主張したのは、アメリカ南部のラテン系学生は、学校で英語を学んだあと、夕方に英語に触れるチャンスが山ほどあったからです。
本当に英語のシャワーが実現されるなら「すべての単語を推測から理解せよ」でもいいと思うんです。
でも小学校5・6年の週2コマで、700~800語を習得できるまでのシャワーが可能でしょうか。
母国語ではない言語を楽して学ぼうとするからこそ、単語ドリルや文法理解という近道を活用しないと、もったいないのでは?

たしかに小学校教科書に収録されている800語中、発信語彙は450~500くらい。それも国教研(文科省)の小学校担当は「なぞり書きでよい」といいますが、中学校の教科書が「もう読み書きできるよね」というテイで1ページめが始まるのは、現場ならもうみんなが気づいてる矛盾です。
被害者は子供です。

誤解のないように補足しておきますが、私はドリル重視ですが同時に活動重視です。徹底的に訓練したうえで、自信を持って活動に当たらせます。
2ヶ月でATLと5分、1年で10分、2年で15分、ノンストップで英会話し続ける生徒を輩出してきました。
むしろ、単語に絶対の自信もないのに「はい、今から新しい単語と表現を使って英語ゲームをしなさい」って強制するんですかね。
英語嫌いになりますよ。
中学校入学時に英語嫌いだった生徒を英語好きに戻してますけど、「なんて無駄な時間を過ごさせてしまったのか」と思わずにはいられません。

現在のベストコンボは、
①タイピング英単語で慣れる
②自動採点テストで習得状況を自覚させる
③文法は一気に中3まで終わらせる
④英語活動も常に中1~中3までをループさせる
⑤学年を問わずに英語力が診断でき最も安い英検IBAで進捗を数値化して一緒に喜ぶ
……です

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