魔法都市ネルミラ

すべては、魔法。
清々しく晴れ渡る青空に、少年の頃に夢見た冒険心を呼び起こすような不思議な形をした雲が浮かぶ。その雲の群れに届かんとするくらいに高くそびえ建つサン・ド・グラベル大聖堂を中心に、魔法都市ネルミラは緑豊かに広がっていた。
都市の人口はおよそ250万人。都市と名は付いているが、最早国と呼んでも過言無い場所だ。ネルミラでは農畜や金物細工なども盛んではあったが、やはりメインとなるのは魔法産業だった。魔法学を極め、魔法によって新しいもの、足りないものを創り出し、生活をさらに豊かに潤す。その要となるのが魔法学であり、魔法こそがネルミラの人々の生活の要である。
ネルミラの民は、個人差はあるものの皆魔法力を持って生まれてくる。魔法力が強い者は魔導士軍に所属したり、魔法による発明や新たな魔法の開発で国の発展に貢献をしていた。
そして、魔法力の影響からか、国民の髪は皆同じく金色に輝いていた。もちろん魔力の量や質によりその美しさにも個人個人違いがあり、その素晴らしさが認められる人物はまるで神や王様のように扱われていた。金色に輝く髪の色は魔法力の象徴であり、ネルミラの民である証だった。
だからつまり、ネルミラの民に黒髪の者なんて存在しないのだ。

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