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CARRY ON

『幼馴染の心が読めたらどうするか?』より 作曲:waniwave
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※試聴版。オリジナル版(03:31)は購入後に視聴可能。

感情は波のように寄せて返して一定ではない。

 その揺れや波を微分して傾きを求めたときに、感情の上下が激しい人はかえってわかりやすい。
 怒りっぽい人は1秒後も3秒後も同じ傾きで怒っているだろう。ヘラッてるなら1秒後も3秒後も同じ傾きで悲しみに溺れているだろう。

 だが穏やかな人はどうだろうか。穏やかな人の感情も上下はしているはずだが、その傾きは一見しただけではわからない。
 緩やかで長い波長でゆっくりと上下して穏やかに見えるのかもしれない。あるいは細かく短い波長で絶えず上下しているせいで穏やかに見えるのかもしれない。
 いずれにせよ穏やかな人ほどその瞬間に微分して求めてみないと傾きがわからない。

「何を考えているかわからない」という人物評はつまるところ「いちいち微分しないと傾きがわからない」ということでもある。1秒後もわからないし3秒後もわからない。

 大事なのは、恐らく本人にもわかっていないということだろう。

 今もわからない。

 悲しいのか。怒っているのか。嬉しいのか。
 穏やかであろうと努めるとどんどん自分がわからなくなっていく。

 自分がわからないから人に話せず、音楽や酒や薬物の波にたゆたうしかなくなっていく。
 今の気分が説明できない悲しい人たち。
 いつも何かを探している。
 愛してるの一言で片がつくとわかっていてもきみのさざ波は遠い。近づいても波はつかめない。恋も愛も穏やかに苦しい。

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続けられるかわかりませんが過去作の曲の単品販売に使おうかなと思ってます