機嫌良くいられる方法は、実は誰も知らない。

　だから機嫌良くいられないからって落ち込む必要はないと思う。だいたい機嫌良くいられなくて落ち込むのは、機嫌の悪い自分を申し訳ないと思う誠実さや優しさから来ているはずだ。

　どうすればいい気分でいられるか。
　これは全然簡単なことじゃない。
　なぜなら天気が良くて気分が良い人もいれば、天気が良いせいで気分が悪い人もいる。もちろん逆もある。
　同じ入力や環境があったときに、人間の出力がいつも同じではないということだ。

　昔から人間は普遍と不変を求めた。ギリシャの頃からそうだ。彼らがやっきになって頭をひねったのは、この世界の謎を解き明かしていつでも気分良くいるためだったに違いない。
　しかしついにその願いはかなわなかったし、今もかなっていない。
　万物の根源を合理的に求めてもたどり着けない境地がある。

　それがわたしたちの気分だ。
　地球の自転は同じでも、明日の気分は今日の気分とは違う。

　今日の気分はこうだ、と自分で決めている。
　どういうものか自分で決めたときに、初めてそれが浮かび上がってくる。

　それを愛といってもいい。

　自分で決めるのはしんどい。

　でもそれは天気に負けない。環境に負けない。入力に負けない。合理性に負けない。

　どれだけ理不尽であっても
「そう決まっているから」と自分で決めたから絶対に負けない。
「なんかそういう気分だったから」で絶対に勝つ。

　この曲にはそんな彼女のまぶしさがある。