どうも、キャラゲーのクソシリアス撲滅委員会の者です。
2010年頃、「キャラゲーのクソシリアス撲滅委員会」に所属していました。(もちろんそんな組織は存在しません)
ノベルゲーオタクとしては、今よりずっと拗らせていた当時。名作・良作と呼ばれているものはそれなりにプレイ済みで、作品の中身にあれこれと口を出す生意気な時期であったと記憶しています。
別に重たい話が嫌いなわけではなく、瀬戸口廉也作品に傾倒していたくらいには暗い雰囲気が好きでした。むしろ好きだったからこそ途中から中途半端に挟まるシリアス展開が嫌いだったのかもしれません。
ヒロインが不幸になる話は泣きゲーや鬱ゲーで十分で、キャラ萌えが売りのものは、なるべく長く楽しい日常を満喫したいという思いがありました。
【老舗ブランドHOOKSOFTの変遷】
今でこそ終始明るい雰囲気の作品を出しているHOOKですが、あの頃はまだ古典的な個別ルートも多く、急にヒロインが不幸になったり、主人公とすれ違いがおきたりすると「でたー! 唐突なシリアス、こんなの誰も得しないじゃん」と悪態をついていました。
私のキャラゲー観をつくった作品の1つに2009年にSMEEから発売された『らぶでれーしょん!』があります。
個別ルートでシリアスをやるのが当たり前の時代としては革新的な作風で、ひたすら勢いのあるギャグとヒロインのデレを見せるだけという割り切った構成が「こういうのでいいんだよこういうので」という気持ちになりました。
同じ世代のノベルゲーマーのなかには雑に導入される後ろ向きな話に、
「クソシリアスやめろ!」と思わず叫んだ方もいるのではないでしょうか。
そういうユーザーの声を知ってか知らずか最近のHOOKSOFTは系列ブランドのSMEE・ASa Projectと相互に良い意味で影響し合い、いずれも一定以上の評価を得ている印象です。
【シリアス一切なしの『コイバナ恋愛』】
2023年ASa Projectから『コイバナ恋愛』が発売されました。
前作『フタマタ恋愛』の複雑でややこしい人間関係から一転して、
クラスで仲のいい男子グループと女子グループがカップルになる物語。
シリアスなシーンどころか、「好き」という気持ちに重い意味を持たせずに恋愛感情がはっきりと芽生える前に、なんとくなく付き合う展開。恋愛描写も含めた重たいシーンをすべて排除した究極の日常シーン特化ゲームです。
「あの娘、恋人ができてから毎日が楽しそう。私も仲の良い男子と試しに付き合ってみようかな」といったゆるい理由でカップルが成立するのはわりと現実に起こることで、その意味ではリアリティーのある設定だと思います。
私が好きなヒロインは「チー」の愛称で親しまれる安達千依。
彼女を好きな理由は、今までの幼なじみキャラのテンプレ展開を打ち破る「異性として意識しているのかよくわからんけど、他の女に盗られるくらいなら自分が付き合う」肉食系の思考をしていることです。
古典的な幼なじみヒロインのお約束「男性として好きなのか自信がない」と捻りのない量産型の葛藤シーンを、浴びるほど見せられてきた身としては、逆に新鮮でした。
『コイバナ恋愛』『フタマタ恋愛』両作品のユーザー評価については賛否が別れ、好き嫌いが二極化しているようですが、少なくともチーの話についてはコンセプトを上手に生かしたシナリオだったと思います。
10年以上前「クソシリアスやめろ!」と叫んでいた老害おじさんとしては、重たいシーン一切なしのキャラ特化ゲームがリリースされるとは夢にも思いませんでした。美少女ゲームもここまできたかー、と隔世の感があります。
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