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マインドバロメーター

 誰かの「しんどい」が「いや、そんなん私だってしんどいよ」で片付けられちゃう世の中の風潮が軽率すぎて苦手です。そんな言葉で励まされても「あ。みんな頑張ってるんだな、私も頑張らなきゃ!」とはなかなかならないし、みんなで共鳴し合えば乗り越えられる!なんて、そんな単純じゃないです、私。

 生きているとよく「しんどいのはみんな一緒」と口説かれることがあります。その度に、なんでこれだけ科学が発展しているのに、心の状態が可視化できるようにならないのかな、と真剣に思います。身体の不調を感じたら熱を測るように、心にかかっている負荷を計測することができたなら、しんどい度合いは人によって違うんだということももっと当たり前に受け入れてもらえるのに、って。

 それと自分のことは自分が一番わかってると言うけれど、案外なんにもわかってないものです。え、いま、わたし病んでる?正常?なんか周りよりストレス抱えて生きているような気がするけど気のせい?え、これって全部、被害妄想?

元気な自分と、病んでる自分を、都合よく使い分けて、なんとなく自分の機嫌をとりながら生きている私には、もはやどれが本当の心の声なのか区別することはできないのかもしれません。どれだけしんどくても、自分が本当に心を病んでいるという確信がもてない。それを測るものがない。だからあれもこれも全部、自作自演なんだろうなって、決して自分が報われることのない考えを永遠と巡らせているわけです。

 でももし、この世にマインドバロメーターなるものがあって私の限界値を教えてくれたなら、変に自分に期待することも、間違って自分を責めたりすることもなくなるのかなと思ったり。最初から「私ってこんなもんなんよ」と自分も周りもわかってあげられていたら、自分の苦しさを人の物差しで測ったりなんてしないし、そもそもする必要がないんだろうなって。

 所詮、私の勝手なタラレバ話で、現実にはそんな画期的なものはないわけですが、「しんどいのはみんな一緒」と言われるとどうしても腑に落ちなくて、いつもこんな妄想ばかりしてしまいます。


 みなさんにとって自分の心の状態を知るマインドバロメーターってなんですか?私は人の文章を読んでいると自分の心がいつもよりよく見えるような気がします。余裕がないときは、人の悩みや苦労を知ると嫉妬します。自分の悩みがありふれたものなんだと思い知るのが怖いからです。「自分は特別じゃないとダメ」と思ってるつもりはないけど、心がそればかりに支配されているサインです。

 他にも、「です、ます」調が落ち着くなと感じたり、反対に「である」調が妙に鼻についたり、欲している文体によって自分の体調を感じ取ったりもします。変態です。はい。

 今回マガジンを制作するにあたりいろんな人の文章を読み漁りました。かなり無作為的に選んで読んだので、もちろんその中にはちょっと違うなぁと感じるものもあったわけです。でももしかすると、そういうものもまた別の日に改めて読んでみると違う感じ方をするのかもしれません。どれが本当の声かなんて案外どうでもいいんですよね、きっと。だから、日々自分なりのマインドバロメーターを働かせて感じていることを、もっと純粋に信じてあげてもいいんだろうなと思い始めた今日この頃です。

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