サラットナさん 第十章

秋の大祭スケジュールが配られた。
(貝塚)  朝一、境内掃除と社殿前階段水拭き。

普段は閉めている社殿前の階段を使うそうで、先ほど水拭きしたばかりだ。かなり砂埃で汚れていた。そうよね当日も拭かないと無理よねと納得した。

(貝塚)  巫女のサポート:直会準備、お弁当配り、洗い物、トイレ掃除等々。へぇ色々あるんだなぁ。

巫女さんたちの他の仕事も見てみる、大祭祈祷準備(履き物、絨毯、手水)、草履取り、大祭祈祷、巫女舞、大祭終了後通常ご祈祷受付開始等々。こりゃ忙しいわ。

「貝塚さん、すみません。良かったら先にお茶しててください。」と巫女の篠原さんが声をかけてくれる。でもさすがに、神主さんよりも先に頂くのは気が引けるので早々に帰ることにした。

「あっ良かった。貝塚さん、明日は始まる前に打ち合わせがあるので早めに来てくださいね。」
途中で巫女長さんと会う。

そっかあ、普段はいない巫女長さんと明日は一日かぁ。ともかくがんばれ私。

そして、大祭当日早々に事件は起きた。もちろん私にとっての事件だ。急に休みになった巫女さんのかわりに草履取りをするそうた,

「はい、急いでこれに着替えて!」
巫女長が緑色の袴を持ってきた。

何ですとぉ〜。なんて驚く間もなく巫女室に巫女さんと一緒に向かう。

あら結構、猫に小判じゃなくて、孫にも衣裳じゃない。袴を身につけると何だか背筋が伸びる感じがする。でも汚さないように気をつけて掃除しなくちゃ。

やっぱり巫女さんたちって、こんなに長くて動きにくいものを涼しげに着こなしているだけでスゴイや。

大広間には、すでに大祭祈祷を受ける方々の休憩室として長机と座布団、お茶セットが用意されている。何だか全体に緊張した空気が流れている。いよいよ、万勝神社、秋の大祭の幕が開くんだ。

大丈夫。境内は昨日、一生懸命に掃いたわ。
きっと大丈夫。巫女さんたちについていこう。
大丈夫、私、大丈夫、大丈夫。



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