サラットナさん 第二十一章

豆まきの前に、節分祈祷が行われる。
ご祈祷を待つ間、大広間でお茶を飲みながらくつろぐことができる。

急いで中トイレの確認をして戻る途中の廊下で、巫女さんかささやいて教えてくれた。「向こうの奥に座っているお二人が兎名乃さんです。」

私の目はまんまるくなった。お正月に見かけたサラットナさん風の方だ。このまま飛んでいって確かめたいけれど、祝いの袴を着ていない私は大広間には入れない。

ん?何だ、この違和感は。そうだ!サラットナさんは巫女さんから見えない人だったはず。いつから姿が見えるようになったの?落ち着け貝塚、ご奉仕中だと、もう一人の私が自分をなだめる。

拝殿に上がるご案内のアナウンスが流れた。

よし!叱られてもいい。大広間から出てくる人をあの廊下でみていよう。

ご祈祷を受ける人たちが列になって歩いていく。兎名乃夫妻の女性の方が振り向きウインクをしてくれた。

やっぱり、サラットナさんなんだ。見知らぬ人が私にウインクするわけないもの。

ご祈祷が無事に終わり、豆まきがはじまった。
巫女さんたちが総出で甘酒を振る舞ったり、豆まきに参加している。

何が起きているのだろう。おぉ!という歓声があがる。一人ポツネンと洗い物をしていると、豆をまかれて逃げてきた鬼たちに取り憑かれてしまいそうな気分になってくる。

まるでパーティが終わった後のように巫女さんたちが休憩室に戻ってきた。こんな時は神につかえる巫女さんと、単なる掃除人という立場を思い知らされる。

嫌だよ貝塚、ちょー久しぶりに落ちてるじゃん。お正月の疲れが出てるのよ、きっと。

「貝塚さん、兎名乃さんとお知り合いだったんですね。」と巫女さんから封筒を渡される。

「えっ?知らない方よ。」と思わず答えると、

「学生時代、同じクラスだった沙羅です。と伝えてくださいって言ってましたよ。」

封筒に名前が書いてある
貝塚史子さんへ
兎名乃沙羅より

名前から読めば、沙羅=サラ 兎名乃=トナノ
『サラットナノ」と読める

やだ、サラットナさんらしい。ある意味、ダジャレが私レベル。フフフ。

「貝塚さん、嬉しそうですね。なつかしい方なんですか?」

「そうよ、私に健康について色々と教えてくれた大先生なの。」


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