茶会太郎氏を日銀総裁に推す理由

茶会氏は、右翼知識人、政治戦略家、活動家である。そして私は気に入らない中銀の現状について書いていくことにする

現状

中銀のバランスシートは世界的に見ても増え続けている。中銀の権限も強くなり、他の政策分野を侵食しつつある。一方で、ポピュリストたちは中銀の独立性を攻撃するようになった。おかしなことではない。民主的とは言えない機関が権限をここまで持つのはおかしいと思うだろう。大きな政府を支持する左派でさえ、小さな中銀を好む。一方で、ポピュリストに中銀の独立性を剥奪された後の民主主義がどうなるかは、読者も知るとおりだ。中銀は小さくなければならないし、かつ独立しているべき、というのが保守的な立場ではなかろうか。巨大すぎては中銀を議会政治で監視しきれない。透明性の問題もある。また、政策割当としても、中銀がミクロ経済にさらに口出しするようになっている。中銀は政治家に責任をなすりつけられながらも、権限が増えることを悪く思っていないようにも見える。中銀はそれ自体でバランスシートを増やすことができるので、財政民主主義的な統制はなじまない。中銀には改革が必要だと思う。そして、茶会氏ほどの適任者はいない。人格的要素も含めて。

推す理由イ テクノクラートでないから

中銀の科学的な専門家たちは法の範囲で適切に介入すべきだと考えている。彼らは正しければ、大きな政府でもいいと考えるだろう(もちろん、彼らは専門家としての懐疑を持っているだろうが、イデオロギー的反対はない)。そうした考えが、シャハトや是清の悲劇につながったのではないか?テクノクラートが正義の全体主義をもたらすことを私は恐れる。

推す理由ロ 市場経済への信念を持っているから

私が中銀総裁だったら大変なことになるだろう。彼が市場経済を支持するのは、単に効率的だと信じているからではない。そこに法の支配とのつながりを見出す精神を持っているからだ。彼は小さな政府を支持している。納税者の権利を支持している。それはひどい救済への対処として現れるだろう。

推す理由ハ 保守的な政治態度

彼は権力の行使には素晴らしく消極的だが、正当性という分野では素晴らしく保守的である。中銀の正当性が攻撃されている現在、必要な資質だろう

推す理由二 本来の意味での反知性主義

彼が様々な統計をみてヘッジすることを私は知っている。決定をすぐに下さないことも。そして既存の学術的権威に対する懐疑といったものを持っていることも知っている。一方で、さきほど書いたような保守的態度でプラグマティックに行動する人間であることも知っている。彼は設計主義に反対するリアリストだ。これはまさに政策革新を後押しし、議論を促進する、改革的態度ではないか。危機対応にも役立つであろう。

推す理由ホ 漸進主義であること

これは持続可能な改革を後押しすることや、経路依存による課題に対処するのに役立つだろう。親市場で漸進主義者というのはあまり見ない気がする。

推す理由ヘ 中立ぶらないこと

彼は現代の中銀が自らの権限を過小評価していることや政治的に中立であると中銀当局者が本気で信じていることを変えることができるだろう。彼は中立的な建前を維持しつつも中銀の過剰な権限肥大化に対処できるだろう。

推す理由ト 安全保障問題  

私たちの安全保障について、中銀当局者が何も知らないで、中立的に振る舞っているとしたら危険である。彼はネオコンとして西側との政策協調など、外交的成果を勝ち取ることができるだろう。彼は日銀には多いが文化的キリスト教徒であり、諸外国の当局者とのコミュニケーションも容易だろう。アメリカの連銀が政治圧力を受けていることに詳しいのも強みだ。

推す理由チ ユーモアなどコミュニケーションセンス

彼は時に率直で、時に知的で、ユーモラスだ。これは個人投資家に好かれそうだ。危機の時、こうしたことで、個人投資家から信頼されていたら、役立つだろう。

推す理由リ 独立性

ポピュリストが中銀の独立性を攻撃しており、それは人気がある。彼はエリート的でなく、財政支出に対する慎重さを持っている。ポピュリストはこれからも国債を買えと中銀に言うだろう。彼はそれに対処できる。

まとめ

彼は近視眼的でないし、風通しを良くして、トランプがワシントンを変えたように、彼も中銀を変えるだろう。中銀があれほどの専門性を必要とするほど肥大化した事自体が問題なのだ。彼は破壊ではない変化をもたらすだろうし、その変化をもたらすための市場の信認も獲得できるだろう。

参考:https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2021/fis/kiuchi/0324







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