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ベートーヴェン『弦楽四重奏曲8番』

弦楽四重奏とは
弦楽四重奏は、主に2本のヴァイオリン、1本のヴィオラ、そして1本のチェロによって構成される室内楽(1)の形態であり、その起源は一概に特定することは難しい。しかし、17世紀から18世紀にかけての室内楽の成立と楽器編成の多様化、そして同時期のイタリアを中心とした弦楽器の発達が大きな影響を与えたことは確かである。

(1)室内楽とは、一般的に2人から10人程度の少人数編成で演奏される音楽を指す。その名前が示す通り、室内楽はもともと宮廷や貴族の屋敷の客間、つまり部屋で演奏されることを目的とした音楽でした。

弦楽四重奏曲の発展
弦楽四重奏の歴史において重要な人物の一人は、ハイドンです。彼は※70曲ほどの弦楽四重奏曲を遺し「弦楽四重奏の父」とも称されています。
※情報源によってばらつきがあったので、70曲ほどとしました。

モーツァルトもまた、弦楽四重奏の発展に大きな影響を与えました。23曲の弦楽四重奏曲を遺し、弦楽四重奏曲を発展させました。

そうしてルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは、弦楽四重奏の形式をさらに発展させ、その重要性を確立し※16曲の作品を遺しました。こうして弦楽四重奏曲はクラシック音楽の重要なジャンルとして定着しましました。
※大フーガを独立した1曲として数えた場合

20世紀以降も、弦楽四重奏は重要なジャンルとして認識されています。バルトーク、シェーンベルク、ショスタコーヴィチなど、多くの作曲家がこのジャンルに重要な作品を残しています

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲8番
ベートーヴェンは、ロシアの貴族であり、当時ウィーン駐在のロシア大使でもあった、アンドレア・キリロヴィチ・ラズモフスキー伯爵(後に公爵になる)から弦楽四重奏曲の作曲を依頼されました。ラズモフスキー伯爵は音楽愛好家で、シュパンツヒを第一ヴァイオリンとする弦楽四重奏団を屋敷に持っていたほどです。その弦楽四重奏団の主たる目的が、「ベートーヴェンの弦楽四重奏曲の演奏」でありました。

そうしてベートーヴェンは1806年に3曲の弦楽四重奏曲を作曲し、これらは「ラズモフスキー四重奏曲」として知られるようになりました。

弦楽四重奏曲第8番は、その中の2曲目に当たり、「ラズモフスキー第2番」とも呼ばれます。その音楽的特徴は7番が『外向的』であるのに対し『内省的』であると言われています。第二楽章のホ短調のアダージョについてベートーヴェンは次のような注釈を入れています「この楽章は最大の感情をこめて弾くこと」。またあくまでも言い伝えですが、弟子のチェルニーはこの楽章について「壮麗な星空の下で着想した」と伝えたとされています。深い思索と美しさが、第二楽章にはあります。

ラズモフスキー四重奏集は弦楽四重奏の歴史において極めて重要です。弦楽四重奏の可能性を大きく広げたからです。

録音紹介
弦楽四重奏曲をライヴで聴くのはとても楽しいです。なぜなら奏者の息遣いや目配せなどを視覚的にも楽しめるからです。

とは言うものの、ライヴに行く機会は限られていますね。そこでいくつか録音されたおすすめの演奏を紹介します。

・ブダへスト四重奏団
・ケッケルト四重奏団
・アルバン・ベルク四重奏団
・ゲヴァントハウス四重奏団
・エマーソン四重奏団

これらの四重奏団による演奏は、しばしば名演として紹介されています。

同じ作品を様々な演奏を聴けることは、クラシックの魅力の1つですね!

ご興味ありましたら、聴いてみて下さい。

あいさつ
読んで下さった皆様、ありがとうございます。素晴らしい音楽なので、よろしければ聴いてみて下さい。それでは、皆様の幸せを祈っております。

以上です。