頸椎ヘルニアになっちゃった #02

来週、入院することになった。

今月頭から頸椎ヘルニアを発症してしまった。あの地獄のような痛みからはもう逃れたい。どんな風に生活を心がけたら良いのか。改心して生きてゆく気持ちでいっぱいである。

それを知りたくて専門外来にかかった。そのはずだった。

「あー、もう間違いなくヘルニアね。手術で一発なんだけどなー、どうする?手術。いつする?今週?来週?早い方が楽だよー。どうする?」

開口一番、先生は私をひとっつも見ずに、MRIの画像を見て手術日の段取りをしようとする。

ですよね〜。でも。でもでも…。

私がどんな事情を話そうと先生は動じずに同じ話を繰り返す。もはや私の話はハナから聞く気などない様子。どうやら先生は、常に押し寄せ群がる様なファイトスタイルのボクサー、スウォーマー。

「一旦家族と相談します…」とワンラウンドが終わり、帰宅して夫に相談…いや、どうせ、この話をのらりくらりと聞かない気だろう。何せ夫も私の話を聞かない。

そもそも今日、夫に仕事を午前休みにしてもらうにも「今週は無理、来週も無理」と無理無理の一点張り。

大変な騒ぎで最終的に「私のことがどうでもいいならいいで良い。しかし病院には行きたい。だから実家に行ったり来たりはこのご時世、感染予防の観点から宜しくはないから、子供を連れて暫く実家に帰らせてもらう。」

どうやら、その最後の一言が効いたらしい。翌日には「半休取ります」と渋々承諾した。

そんな夫に「手術をするので、仕事を休めないか。」と相談しなくてはならないのだ。

さあ、どうするどうする…あのスウォーマー先生に、打ち合わないタイプのアウトボクサーの夫…さあさあ。

ここは、考えざるを得ない状況に追い込まれた私のように、夫も追い込んでみるのはどうだろうか。

ということで。さっき話した先生の口調で、おんなじ話を夫にしてみることに。

私「どうする?休める?今週?来週?いつ?」

夫「…お…おう…。」

…なっ!なんということ!話を聞いている!笑 パンチが効いてるんだ!しかも「わからん」「無理」などの反撃をしてこないときた!

夫「え?今すぐ決めないとなの?」

私「うん!術前検査するために来週も休んでもらうか、今日この後検査するかも決めて欲しいって!」

夫「…会社に電話してみる」

よっしゃー!連続パンチが効いてる、効いてる!

本当はゆっくり決めてもいいんだけど、ここはこのまま夫をたたみかけた方が良さそうだ。

「この先生、なかなか有名らしく、本来なら手術6ヶ月待ちなんだって。」

「来週なら休みをとるの、少なくて済むタイミングじゃない?」

私のラッシュはとまらない。さあ、とどめの一発だ。

「ねえ?もう決まった?術前検査、もう今日は締め切られてしまうよ、またこの後すぐ行ってきて良い?」

「…うん。」

カンカンカンカン!私のボディブローが決まって、高らかにゴングがなった。

さて、術前検査に行ってきます!

…と、この時は、勝負に勝ったつもりでいたのだけれど。




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