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足跡という曲をつくるまで(後)

後編は
「足跡という曲をつくるまで」と「つくった今、思う事」
を書き残そうと思う。よ。 

ちなみにヘッダーの写真はDrみくちゃんが撮ったやつ。

さて今回は「僕のヒーローアカデミア」のEDという一面も持つ。もうこれに関しては、嬉しいとしか言いようがないです。

私が今までヒロアカに沢山胸を打たれて来たのは
登場人物ひとりひとりの葛藤やトライに共感し、励まされて来たからだと思う。

それならば、
ヒロアカファンの方々に歌詞から連想して楽しんでもらえるようなエッセンスを加えつつも
芯になるメッセージは私自身が抱えるものを書き出しこう、そうすれば自然と作品と重なっていくのではないだろうか、そう考えた。



とはいえ前編で書いたような混乱の中で書き進めた歌詞。
はじめは構成も歌詞もまるで違った。
根っこでは「変わりたい、自分になりたい、そういう歌にしたい」と願いつつも、まだ完全には吹っ切れず、ご機嫌伺いのような言葉ばかりが浮かぶ日々。


結局歌詞が完成するまでかかった歳月は半年近く。
ついでにその間気が滅入りすぎて完全に体調を崩した。 


体調に関して、身の回りの人に本当の事は言えず、仮に言えたとしても"本当"が喉を通りかけた途端にビビって「なんか最近しんどいんだよねー!でも大丈夫ー!」とソフトにライトにしか伝えられなかった。


それどころか「私が頑張ればいい、私の努力が足りないだけ」と自分ですら自分の味方をしてあげられない状態が続く。

前回書いたような「こうなりたい」がまだ強すぎて
心のどこかで自分の弱さや脆さを吐露する事を「弱さ」と思い、タブーとしていたのだと思う。


しかしどうだろう。


今だから分かるが
自分の現状をなんとなく認識する事は出来ても、
それを外に向かって正直に告白するのはとても恐ろしく、とんでもなく勇気がいる事なのだ。

それをどうして「弱さ」と言えよう。

自分の現状をしっかり認識し、周りに打ち明けたり、助けてと言えるのは立派な「強さ」だ。


Hell like Heavenというアルバムを出した時に込めた
"
「暗さ」と「明るさ」はそれぞれ独立してる物ではなくて
常に根底で繋がっていて誰しもがその二つを持ち、その二つの間にあるグラデーションの中で生きている
"
というメッセージにそれに通じるところがある。


「弱い人」「強い人」がいるわけではない。

弱ってヨボヨボになった自分に直面してやっと分かった。

今まで私は心のどこかで弱い自分を打ち消して、無い物にして、
それをまるで弱さを克服したかのように錯覚しながら
「強い人」になろうとしていたのだろう。


そんな事に少しずつ気付き始めた。
歌詞を何度も何度も書き直す事で気付けた事だと思う。

そしてその気付き一つ一つを大切に歌詞に書き残していきながら、私史上最長の戦いを経て
年末ここがゴールかなと思えた歌詞を書けたところで、足跡を完成とした。



曲中の「君」が誰だとか、「僕」が誰だとか、
歌詞一行ずつに補足を加えるような
そういう説明はしたくない。

聞いてくれた皆んな一人一人の君と僕、はたまた僕と僕に重ねながら聴いて欲しいと思う。


今回のシングルで一番伝えたかったのはやはり、「自分と向き合い、自分を愛する事」だ。

どんな姿でも良い。
弱いところも、強いところも、あって良い。

とはいえ
自分を愛そうにも愛せない、愛させてくれない、そんなような不健康な世の中である事も分かっている。

だからせめて、頑張り過ぎないで欲しい。
頑張るしかないって環境があるのも分かるし、頑張るのはもちろんとっても偉いんだけど。
頑張らない勇気を持ってみて欲しい。学習性無力感になってはいけないよ、壊れちゃうから。


みんなに、自分を大切に、第一に常に選択していって欲しい。心からそう思っている。


憧れも、本来は自分を前進させてくれるものなのに
ベースにある自己否定が強いとどうしても、自分を打ち消し停滞させるものになってしまう。

理想とは違う自分を暴き出し向き合う行為は
大きなショックを伴うものだけれど、
最終的には風通しが良くなるものだ。


長い目で見れば
ハリボテを着込んで、段々と蒸し蒸ししてくるより何倍もマシ。


それに、自分のことを認められるようになると
当たり前に他者のことも認められるようになる。

私は、他者の人間らしさを認め、受け入れられる人間になりたい。
(毎回いうが違法行為などは別だ。)

お互いが少し着飾った程度のありのままの姿でいる事が、人間が愛し合い分かち合う為に最も必要なプロセスだと感じるから。

私たちは前に進める。それは、強い人だからではない。
私たちは共感し助け合えるそれは、弱い人だからではない。


極端に弱かったり極端に強かったりするものにフォーカスがあたりがちな世界だと思うし、
そういうものの"分かりやすさ"も理解できるが

弱さと強さが混合している状態が、今を生きる私たちの一番のリアルな姿な気がする。
少なくとも私はそうだった。

貴方のままで大丈夫、と皆んなに語りかける為に
まずは私が私のまま、ありのままでいようと思う。

少なくともペギーズを聴いてくれる人たちとは、ありのままに共鳴し合っていきたいしね。


色々話し過ぎた節もあるけれど
そんな経緯で書いた、私にとってはかなりターニングポイントになる曲だった。

みんな一人一人に届くと嬉しい。

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