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カウフマン、ウィーンを歌う。

ヨナス・カウフマンのDVDが届いた。輸入盤で、3492円のところ、1992円でゲットした。楽天モバイルに契約したら、1500円のクーポンが使えることになったのだ。
「やったー! カウフマンのCDかDVDを買おう!」と、決めた。
これは持っているし、これは完売しているし、楽天市場で取り扱いがないし・・・と、考え抜いた結果、選んだのは『私のウィーン』。

ヨナス・カウフマン(1969~)はミュンヘン生まれのオペラ歌手で、「キング・オブ・テノール」と呼ばれている。
ミラノのスカラ座、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウス、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場その他に毎年出演し、フランス、ドイツをはじめ、世界中でソロ・リサイタルを開いている。人気・実力、共に世界トップクラスの歌い手だ。

METの「オペラ・ビューイング」でも、『ファウスト』(2011)、『パルシファル』(2013)、『ウェルテル』(2014)、『西部の娘』(2018)など観ているし、BSプレミアムで観た『トゥーランドット』や『死の都』は忘れられない。後者は現代人の孤独と喪失感を描いており、2時間余り出ずっぱりで演技し歌う、声も体力も尋常ではない役。カウフマンは見事だった。その歌唱と演技は私の心に深く刻まれた。

オペラだけでなく、歌曲のコンサートにも並々ならぬ力を注いでいるカウフマンの『私のウィーン』。さっそく聴こう、観よう!

全編、ウィーンの歌曲がズラリ21曲。97分。
ヨッヘン・リーダー指揮。演奏はプラハ・フィルハーモニア。共演はレイチェル・ウィリス=ソレンセン(ソプラノ)。

ヨハン・シュトラウス二世のオペレッタ(喜歌劇)『こうもり』より、「しなやかな身のこなし」(時計の二重唱)。さまざまな表情と動きで楽しませ、笑わせてくれる。
同じく『ヴェネツィアの一夜』より「これだけは許せない」。リラックスした表情で次々に歌うヨナス。
フランツ・レハールのオペレッタ『メリー・ウィドウ』より「閉ざした唇に」。間奏ではハミングしながらソレンセンとワルツを踊る。思わず拍手。
アンコールのG・クライスラー作曲「死神ってウィーン人に違いない」は初めて聴く曲。指揮者のピアノ伴奏で、マイクを持って歌う姿は非常に珍しかった。

臨場感のある映像で、ウィーン・コンチェルトハウスにいる気分が味わえる。
嬉しかったのはジーツィンスキーの「ウィーン、わが夢の街」。借り物のドレスを着て、市のコンサートホールで歌った思い出の曲。ドイツ語の歌詞を一生懸命覚えたっけ。あ、いけない、涙が・・・。

ステージに出る寸前のヨナスの引き締まった表情。それが、観客に迎えられた途端、ふわりとした笑顔になる。こんな大スターでも、袖では集中している。それこそがプロだ。

リハーサル風景。白いシャツ、黒いセーターにブルージーンズのヨナスは何てかっこいいの! 緊張から解放されるとペロリと舌を出して、やんちゃな男の子みたい。優しい人柄で、気さくで、お茶目さんだから、みんなに愛されている。

嬉しいことに、このDVDには所々にヨナスのコメントが入っている。
シュテファン大聖堂、カールス教会、ホーフブルク宮殿、ヨハン・
シュトラウス二世の墓等々、ウィーンの名所を背景に、また、映画『第三の男』で有名な大観覧車に乗ったりして、ヨナスは語る。
ウィーンにはたくさんの劇場があること、ウィーンっ子は音楽を愛し、誰が歌うのか、2週先まで知っていること。
ウィーンでは誰もが街に誇りを持っているが、国粋主義では決してないこと。それはウイーンに対する暖かい愛であること。
「私はその歌の世界を生きて、愛して、楽しんでいる。同じ歌を歌っても、いつも新しい感覚を持ち、興味を保ち、毎回サプライズがあるんだ。」
友人達と戸外でグラスを傾け、語り合う彼の楽しそうなこと!

輸入盤なので日本語の字幕も解説もないけれど、ドイツ語と英語の字幕付きなので助かる。英語で意味を掴んだり、ドイツ語で一緒に歌ったりできる。今日から私の宝物になった。

あー、家事も食事もしたくない。


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