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ミステリーはお好き?(1)学術の古都を舞台にした3作

ケーブルテレビに加入した。ミステリーに特化したAXN。お試し期間に映画・音楽・ドキュメンタリーなど5チャンネルを選んだが、あれこれ視聴するのは不可能だと分かった。24時間、海外のミステリーをやっているので、もう1チャンネル選ぶのがせいぜいといったところ。映画キチガイの私だけど、見たい作品がほぼない。それで、音楽を選んだ。
ロックの歴史を掘り下げている番組や、近年のライブなどをやってくれてありがたい。スザンヌ・ヴェガのベルリン公演には大感激! この「ミュージック・エアー」にNHKのクラシック音楽番組4つを組み合わせると、オペラからロックまで網羅されて文句なし。
さて、肝心のミステリー。英国のドラマは粒揃い。朝から晩まで見続ける訳にはいかないので録画しているが、貯まる一方。私のお気に入りをご紹介しよう。

『刑事モース / オックスフォード事件簿』ーーー大人気番組『モース警部』のスピンオフで、1960年代後半の若き日を描いたドラマ。オックスフォード大卒でクラシック愛好家、人付き合いが苦手なモースは周囲から浮いている。高い知能を誇る犯人にアクションではなく頭脳で挑むモースをショーン・エヴァンスが好演。孤独で繊細な横顔にシビレる。千年の時を経たカレッジや図書館など、オックスフォードの街がまるで主役のように魅力的。

『主任警部モース』ーーー1987年から2000年まで続いた長寿番組。クラシック音楽と文学を愛好し、職場でもクロスワードを解いているモース(ジョン・ソウ)はチームワークが苦手な「我が道を行く」タイプ。彼の右腕のルイス巡査部長はさながらモースのお守り役。「私は頭脳を使うのだから、体を使うことは君がやれ。」と言われ、いつも面倒な仕事を押し付けられる。「今日は君がビールをおごる番だったな。」とか、「釣銭がないそうだ。君が払っておいてくれ。」とか言われても従ってしまう。意見の衝突で大声で言い合うことがあっても、結局、ルイスはモースの我儘を許してしまう。ビールに目が無く、女性に弱い、欠点はあるが憎めない、独身貴族のモースと、善き家庭人で良識派のルイス。二人の対照的なキャラクターが面白い。

『オックスフォードミステリー / ルイス警部』ーーー『モース警部』のスピンオフ。上司となったルイス(ケヴィン・ウェイトリー)と部長刑事のハサウェイ(ローレンス・フォックス)が現代のオックスフォードで大活躍。部下の方がインテリで、叩き上げで苦労人のルイスは地味だけど、思いやりのあるいい上司。お互いを理解し信頼し合っている二人の関係が気持ち良い。

3作を通して言えることは、「よくネタが尽きないな」と感心するほど練りに練った脚本で飽きさせないこと。刑事ものだけど銃なんかぶっ放さない。推理しながら観ていられるので、探偵小説を読んでいるかのように楽しめる。やっぱりイギリスはミステリーの王国だなあと思う。
次回もお楽しみに。

チーフ・インスペクター・モース



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