見出し画像

開豁な

先日、百貨店の上階で行われていたメガネフェスティバルなるものに顔を出してみました。
間口はカジュアルかつオープンだったため、何の気なしの物見遊山でフラっと立ち寄ったのですが、思いの外きちんとした展示だったようで。展示品のあまりのラグジュアリーさに思わず値札の桁を指で何度も数えてしまいました。

価格帯としては、一枚数万円のものから、なんと一億近いものまで。「ぜひおかけになってみてください」なんて言われましたけれど、とてもじゃないですが触れるわけありません。しかも、そんな一品が何枚も立ち並んでおり、思わずその場から一歩退いてしまう始末。

数百、数千万を一気に摂取してしまうと、隣のテーブルに展示されてあった数十万の一枚がかわいく思えるってもんです。だいぶ麻痺していたんだと思います。ただ、数千万円の一枚にはその価格に見合った価値があるというのは伝わりました。そこまでいくと主にラグジュアリーとしての価値にはなりますが。純金をあしらったフレームをあそこまで軽量化する技術。ダイヤをフレームの邪魔にならないよう埋め込む技術。大変素晴らしかったです。もちろんのことながら、買う気は一切起こりませんでした。とっとと帰ってトゥナイト・ショウでも眺めてます。

そんなミリオンダラーコーナーを抜けて、海外ブランド、日本製ブランドのコーナーへ足を運びますと、両者の趣向の違いが手に取るようにわかり、どうやらメガネは日本製のデザインが好きなのだという気づきも得られました。とりわけ気に入った一品があったため、試着してもいいかと訊いたところ、なんと担当店員がついて、しかも何やらあれこれ書いてくれるではありませんか。しばらく何か書いた後、担当店員の名前と、そのメガネの型番の書かれた紙を「御用の際はこちらの担当店員へお申し付けください」といった文言を添えて手渡されました(出先ゆえ文言はうろ覚え)

無論、買うつもりは一切なく、ただの物見遊山で立ち寄っただけです。だというのに、お客様として丁重に扱っていただいてしまい、こちらも身の引き締まる思いでした。買う気はないと言いましたが、現状、私の中でかなりイケてる部類のデザインだったので、来年までに他のメガネでオシャンなのが見つからなければ、再びその百貨店へ伺い、もしかしたら購入させていただくかもしれません。価格も5万円以下とよっぽど良心的マシな方でしたし。

いいものを見る。
ホンモノに触れる。
そういった経験に惜しみなく時間を捧げられる。
世界一でなくとも、そんな余裕のある人間になりたいものですね。
買えもしないのに偉そうなこと口走っておりますが、案外こういうのを向上心とでも云うのかもしれませんよ。
それにやっぱり、いいものっていいですから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?