ディズニー映画「インサイドヘッド」のワンシーンから使える表現をいくつか掘り下げてみました。【パート65】
① Sadness, you may know your way around down here, (字幕では訳されていません)
know one’s way around … は「…のことをよく知っている、精通している」という意味があります。
way が「道」で around が「…の周り」なので、「〇〇の周りの道のことを知っている」から、「…のこと( = 周りのこと) をよく知っている」という意味が生まれたのだと思います。
ですから、ジョイのこのセリフは「あなた(=カナシミ) はこの辺りをよく知ってるかもしれない」となります。
ジョイが言いたいのは、「カナシミはこの辺の地理には詳しいかもしれないが、私はライリーのことを(よく)しってるの。だからここは私のいうことを聞いて」ですね。
この英語を言い換えると、You may know a lot about this place.” や “You may be familiar with this place.” です。これらの表現もよく使われますが、”know one’s way around … も覚えておけばいざという時に使えます。
この表現は場所だけでなく、精通しているものなら何でも使えます。
"She knows her way around French culture"「彼女はフランスの文化のことをよく知っている」
② The train’s not running.「列車は止まっている」
「列車は動いていない」という意味ですが、動くは move なので “The train’s not moving.” はどうでしょうか?
これも「列車は動いていない」ですが、move は「物理的に動いている」という意味で、”The train’s not moving.” だと、「列車は一時的に止まっている」状態をさします。
それに対して run は、電車が正常に運行している状態で、サービスが提供されていることを意味します。
ですからこのセリフで running を moving に置き換えることは出来ません。「動く」 = move なので、思わずどんな場面でも The train is / is not moving. と言ってしまいそうなので気をつけなければなりません。
次の例が分かりやすいかもしれません。
The train is not moving as it’s waiting for a signal.「信号待ちのためその電車は止まっています」
The train is not running because of bad weather.「悪天候のため列車は運行していません」
③ A ticket costs money. (字幕なし)
「(バスの)チケットはお金がかかる」との訳は難しくないですが、大切なのはその意図することです。
「〇〇はお金がかかる」という日本語は、「〇〇は有料である」というのと「〇〇は高くつく」の両方の意味があります。
この “A ticket costs money.” は前者の「有料である」という意味で、高いか安いかは触れていません。
「高くつく」は、”It costs a lot money.” や “It’s pricy.” などで表せます。もちろん、”It’s expensive.” でも構いませんが、expensive ばかり使っていると表現力がつかないので、他の英語も使っていくことも大切だと思います。
“cost” と言えば「コストがかかる」いう日本語につられていつも「お金がかかる(高い)」と思い込まないことも大切です。