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【第102回】ディズニー映画「ベイマックス」のシーンから使える英語表現をいくつか掘り下げてみました。

キャラハン教授: Krei! You did this! You knew it wasn't ready!「お前が先走ったせいで…」

「ベイマックス」

You did this!  You knew it wasn’t ready.
直訳は「あんたがこれをしたんだ!準備がまだだと知ってたのに」です。

準備が整ってないのにやってしまった」という意味です。このシーンでは、実験の準備が不完全だと知りつつ実験を行ったことに、キャラハン教授が激怒しているのです。

これを取り上げたのは、その日本語字幕が素晴らしかったからです。準備が不完全なのに始めたー 「先走った」です。

字幕も「お前が先走ったせいで…」となっています。You did this! You knew it wasn't ready! の2つの英文を「先走った」とまとめる素晴らしさも感じます。

I knew it wasn’t ready, but I did this. I’m awfully sorry…「先走ったことしてしまい本当にごめん…」


ヒロ: Honey, Fred, can you give us some cover?「君たちは援護して」
フレッド: Like you have to ask.「もちろんだ」

「ベイマックス」

戦いに今から臨むヒロが、フレッドたちに言った言葉とその返答です。

give … some cover
「…を援護する」ですが、皆さんはこの表現を見たり聞いたりしたことはあるでしょうか。

私は初めて接する表現です。ですから、英語は聞き取れたのですが、その意味するところは最初わかりませんでした。

「私たちにカバーを与える」が直訳ですが、確かにカバーというのは、ほこりなどから何かを守ったりするのにも使用するので、「援護する」という意味になるのだと納得しました。

調べてみると、この表現は日常会話ではあまり聞かれず、ビデオゲームやアクションものの中でよく用いられる表現のようです。

スピーキングではあまり使わなくても、リスニングでは必要になる時があるかもしれないので、やはり知っておくことにこしたことはないと思います。

Like you have to ask.「もちろんだ」
使われている語句は難しくないですが、意味を把握するのはとても難しい言い回しだと思います。

直訳は「あなたが尋ねなければならないような」ですが、意味がイマイチ通じません。

前に省略されているのは、”It’s not“ です。すなわち、It’s not like you have to ask. で、意味は「それはあなたが尋ねなければならないようなものではない」で、「尋ねる必要なんてない」=「もちろんだよ」という意味になります。

A: Can I borrow your pen?「あなたのペンかりてもいい?」
B: Like you have to ask.「もちろんいいですよ」

「もちろん」は Of course. が一般的ですが、Like you have to ask は「そんなことわざわざ聞かなくてもいいのに」という意味を含んだ、親しい間柄で使われるカジュアルな返答です。

Of course. は、丁寧でシンプルな肯定の返答です。

そんなこと聞かなくても大丈夫に決まってるでしょ」というシチュエーションでは Like you have to ask. を使っていきたいですね。


ベイマックス: Back kick. Knifehand. Roundhouse. Hammerfist.「後ろ蹴り。チョップ。回し蹴り。ハンマー」
キャラハン教授: This ends now! 「トドメだ!」
ヒロ: Looks like you're out of microbots. 「タマ切れたらしいな」

「ベイマックス」

① 空手の技が4つ出てきています。
back kick - 「後ろ蹴り」(英語と同じです)
Knifehand - ナイフのような手から「(空手)チョップ」
Roundhouse -  正確には Roundhouse kick で、「 回し蹴り」
Hammerfist- “ハンマーのこぶし”( fist は「こぶし」 ) で、「ハンマーパンチ」もしくは「鉄槌」

これまででしたら、この手の英語はスルーしてたのですが、これらの技も覚えておけば、リスニングや格闘技の説明などで役立つことがどこかであるかもしれないと思い、取り上げてみました。

This ends now.
直訳は「これは今終わる」で、そこから「これで終わりだ」と相手を仕留めたりする時に、最後の攻撃を行う直前にいうセリフです。

昔、『北斗の拳』という漫画がありました。主人公のケンシロウが敵の“秘孔(ツボ)”をついて、「お前はもう死んでいる」という言葉を最後に残すのですが、この This ends now. はピッタリかもしれません。(正確には、秘孔をつく直前に言うのがいいのかもしれません…)

字幕の「トドメだ!」も最高です。ただ次のように「もうこれ以上は絶対に〇〇しません」といった意味でも使えます。

A: “I can’t believe you kept lying to me!”「ずっと嘘をついてたなんて信じられない!」
B: “I know, and I’m sorry. But this ends now.”「わかってる、ごめん。でも、もう嘘はつかないよ

③ Looks like you're out of microbots. 「タマ切れたらしいな」
out of … で「…が切れている」という意味になります。out of … の次にくる語をいろいろ変えて使えます。

I’m out of milk.「ミルクがなくなった」 ですが、物だけでなくHe’s out of his mind. のように、「心がなくなった」⇨「彼は頭がおかしくなった」という意味で使ったりもします。

I’m out of milk. は「完全にミルクがない」状態ですが、「ミルクが切れかかっている」という残り少なくなっている場合は、I’m running out of milk. と run out of... を使います。

最後に個人的に好きな表現の He’s out of it. です。 どこかで取り上げたように思うのですが、「ボーッとしている」「ぼんやりしている」という意味を表す表現です。

「ボーッと」って、日本語の口語表現でよく使うのではないでしょうか。it は周りの状況で、そこから外に出てしまっているので「ボーッと」になるのでしょう。とてもユニークな表現で大好きです。

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