耳あかのにおいが好きだ

耳あかのにおいが好きだ。耳を指でほじったあと流れ作業のように指を鼻に持って行ってる自分がいる。
また、肛門がかゆくなったときもおなじだ。
肛門のかゆいところをかきむしっているときの幸福感と言ったらない。かき終えて満足したあと、また流れ作業で鼻に指を持っていき、嗅ぐ。

とても濃厚なにおいがする。

くさいのかいいにおいかはなんとも言えないが、また嗅ぎたくなるにおいだからいい匂いなのだろうか。

嗅いでしばらくたったら、もう一度嗅ぐ。
ひとりで…静かに…誰にもみられない場所で。

これ以上の幸福あるだろうか?

実はわたしにはこれと同じくらい幸福に感じることがもうひとつある。

とてつもなく大きい耳あかが取れた時だ。

一度経験したことのある、耳の穴に沿った形で、耳壁をかたどるような円柱状の耳あかが取れた時はすごかった。
あの時のことはいまでも覚えている。
小指で耳をほじっていたら、ガサッと大きな耳あかがスライドした。そのまま指を親指と人差し指で挟むように切り替え、耳あかの形が崩れないように、慎重に、つまんでゆっくりと外に出した。

あの緊張感はさながらボトルシップである。

綺麗な円柱状の耳あかが取れた時、ドーパミンが、アドレナリンがドパドパと出るほどの多幸感…

一種の麻薬である。

あの耳あかは今でも記念にママの黒皮の手帳に貼ってある。
見るたび、誇らしいような気持ちになる。

べちょりと湿った耳あかのときはだいたい濃厚な匂いで楽しみ、
かさりと乾いた耳あかのときは視覚で楽しむ。

耳そうじほど幸せなものはない。

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