リバーシブル(7)表

第7弾 目的

俺は有言実行すべく、生野に評価を得るため時間を見ては生野へコンタクトを取り、用途や意図等を汲み取った内容の資料作りを進めていた。

「ねえ、咲。
最近、彼よく話しかけて来るわね。
あんた、何かしたでしょ?」
同僚の小林が生野に尋ねてきた
「特に変わったことはしてないわよ。
ただ、今のままじゃ収入減るから、それが困るなら考え方を改めなさいって伝えただけ」
「ふーん…
まぁ、いいんだけど。
咲って、男を見下す癖があるから、また何か『指導』したのかと思った」
小林は意地悪く生野と話していた。

生野は今の政権になって、女性上位社会になってから男性より優位な立場に立てる事で元々もっていた支配欲が強くなっていた。

そのことを小林は気付いており、釘をさしたつもりだったが…
(もう指導済みか…まぁ咲らしいけど。)

「咲、あんまりやり過ぎると面倒だから、程々にねー」
そう言って小林は去っていった。

生野も小林の課内での評判を聞いていたので、
「お互いにね」
と返すのだった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
社会が女性上位になってきている事に麻由里も気付いており、確実に社会における男女逆転の変化が出ている事を麻由里も実感していた。

当然、国会内では批判も多く孤立が進んできていた。
(いくら議席が半分以上あるとはいえ、そろそろ最終段階に移行しないといけないわね。)

麻由里は速水を呼び、最終段階のための準備を進める事にした。

(ここからが本当の変革…
上手くいくといいけど、失敗したら…私の身の安全は…ない)

「速水さん、次の法案なんだけど…」
速水と麻由里は次の法案についてすり合わせを行い、速水に可決に向けでの裏回しを指示した。

「総理、ではまた平等党の議員を集めておきますので、その場でご説明下さい」

「よろしく頼むわね」

もう気づけば任期もあと1年。
ギリギリのタイミングだった。

(かなり強引に進めちゃったわね。
国民には混乱を招くことばかりしてしまったけど、必ず良くなると信じて進めるしかない)

今回も党員に協力を仰ぐため、麻由里は次回の法案について説明のための演説を行う。

「みなさん、私の任期もあと1年となり、現体制で施行できる法案も限られてきました。

本来であれぱ、我が平等党がJ党のように長く政権を握れれば、もう少し緩やかな改革を考えたのですが、現状厳しい情勢です。

そのため、私は今回を含めあと2回皆様に協力を仰ぐ事になります。

その第一弾として、
現在男性の収入を抑制し、女性の社会的地位をあげる事にしましたが、そろそろ男性の待遇に限界が出始めています。

そこで、次の法案は男性の収入抑制のみ解除する法案になります。

あくまで、収入面だけです。
女性の待遇面は一切変えません。

企業的には人件費が上がることから男性の雇用自体は落ちる可能性もあります。
しかしながら、この約2年で男性は効率よく仕事をする習慣が、女性は責任のある仕事を任されるチャンスが出てきたと思います。

これは私の目標であったGDPの底上げに大きく寄与する事だと考えております。

その変化は変えずに男性の収入抑制だけ解除することで、新たなビジネスモデルも生まれてくると考え、今回の法案を可決したいと考えてます。

そしてそれと同時に少子化対策を全く行っていなかったため、一つの可能性を指し示そうと考えております。

そのための整備として
同性婚を認め、体外受精も認可いたします。

どうしても子育ては女性がメインという風習でしたが、これからは男性がより育児に参加できるよう男女共に1年間の育休を義務化。
ただし、同じタイミングでとるのではなくら半年ごとの交代制をモデルとし、必ず二人で合計2年取得が義務とします。

これからは男女共に生活水準も上がることから、交代制で育休を取得しても最低限の生活歯可能になると考えてます。

政府側のサポート面は…
ごめんなさい、ここは流石に時間が足りなくて手がつけれません。
次の政権に委ねるしかないのが本音です。

今回はこの2つ
1つ目は男性の収入抑制の解除
2つ目は同性婚、体外受精を認可し、育休制度の拡充

皆様、ご協力お願いします。」

党内からは拍手で包まれ、麻由里は安心した表情を浮かべた。

「総理、凄いです…!」
速水は麻由里の演説で心を奪われていた。

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