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こどもの学びが未来をつくる

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ポプラ社社長の千葉均が、こどもたちの「生きる力」を育む学びのヒントを探しに、全国各地で先進的な取り組みをなさっている自治体や団体の方々のもとにうかがう対談企画です。 (2024…
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#地方創生

【後編】教育への投資が予想を超える未来を生み出す~新潟県三条市長・滝沢亮さん、市教育委員会特別指導主事・中村義則さん、マルト長谷川工作所社長・長谷川直哉さん~

前編では地域一体でものづくり産業の活性化が進められていった経緯をお聞きしました。 そして後編では、魅力がどんどんと高められている地場産業が、どのようにして子どもたちの学びに活かされているのか、また教育が地域経済の維持発展にとっていかに大切なのかをおうかがいしていきました。 皆さんのお話から感じられたのは、「教育は地域全体の未来への投資である」という強い意識でした。 あらゆる地域に通じる考え方ではありますが、職人の技術がまちの経済を支える三条市においては、その重要性がより色濃く

【前編】変化を続ける大人たちが、希望あふれるまちをつくる~新潟県三条市長・滝沢亮さん、市教育委員会特別指導主事・中村義則さん、マルト長谷川工作所社長・長谷川直哉さん~

連載8回目の今回、お話をうかがいに訪れたのは新潟県三条市。 江戸時代に発祥を持つ金物加工を中心に、世界に高い技術を届ける「ものづくりのまち」であり、隣接する燕市とともに「燕三条」というエリア名でも知られています。 このまちは、ものづくりを行う各工場の観光資源化などを通して、注目度が年々高まりを見せるとともに、地場産業と紐づいた各種の教育活動も盛んに行っています。 三条市の行政、教育、産業についてお話をうかがうためお集まりいただいたのは、市長の滝沢亮さんと、市教育委員会教育セン

【後編】「好き」で輝く大人の姿が最良の教科書~株式会社オガール・岡崎正信さん、紫波町図書館・藤尾智子さん、手塚美希さん

岩手県紫波町の「オガールプロジェクト」と、その一環で設立された図書館について、前編では現在に至るまでの経緯を中心におうかがいしました。 そこには公共の文化施設を維持し得る経済システムの構築と、行政が民間視点を活かすことについての重大な示唆が含まれていましたが、私が「学び」の場としての紫波町に関心を惹かれるのには、実はもう一つ大きな理由があるのです。 それはつまるところ「出会い」や「ふれあい」といった言葉に集約されるコミュニケーションの場所として活発に機能していること。後編では

【前編】民間主導の循環型経済で実現する学びの持続可能化~株式会社オガール・岡崎正信さん、紫波町図書館・藤尾智子さん、手塚美希さん

岩手県のほぼ中央に位置する紫波町。このまちは、「オガールプロジェクト」と名付けられた公民連携事業による町有地開発を行い、定住・交流人口の増加や地域内の経済循環を実現したことで、まちづくりの成功例として広く知られています。 開発エリア内は統一感ある景観が広がり、芝生広場を挟むようにして文化・産業・スポーツなどの各種公共施設やテナント店舗、分譲住宅地などが整備されています。そんな中でも、独自の取り組みでコミュニティを育むと同時に「稼ぐ公共施設」の役割も果たしている紫波町図書館は、

【後編】夢持つまちの一手が世に共感を広げる~いすみ市・鮫田晋さん

地域を変えるには、まず子どもからーー。冒頭から新しい気づきをくださった千葉県いすみ市農林課の鮫田さんとのお話。前編ではいすみ市の環境保全活動が、有機米の生産や学校給食への導入、そして子どもたちへの教育まで発展していった経緯を詳しく伺いました。そこには情熱を持った地域の大人の存在が不可欠だということも。 後編では、いすみ市の取り組みのどんなところを他の自治体が参考にできるのか、そしていすみ市は、まちや子どもたちの未来をどのようにイメージしているのかにまで話が広がっていきました。

【前編】子どもを軸にしてこそ生まれる地域転換~いすみ市・鮫田晋さん

この企画の最初におうかがいしたのは房総中部に位置する千葉県いすみ市。海と里山、田んぼといった豊かな自然を有する人口約3万6000人のまちです。 ここはコウノトリの飛来するまちづくりの一環で有機米の生産を始め、現在では市内全小中学校の給食に100%提供するまで発展、全国から広く熱い注目を集めています。特徴的なのは農業の活性化はもちろん生物多様性の保護や食育まで分野横断的に官民が連携して取り組み、子どもたちの教育へとつなげていること。 お話のお相手は行政側のキーマンの一人、農林課