滝口幸広さんというひと



たっきーがこの世を去って早1ヶ月。
実感なんてものはあいかわらず微塵もなくて、ただ心のありとあらゆるところに、彼の存在を感じている。

たっきーは私にとってお守りだった。心の支えというより、お守り。心の中というよりかは、ポケットの中にそっと存在しているような。
パワーがほしくなったとき、私はふとポケットの中にお守りがあることを思い出して、そっと触れたり、軽く握ってみたりする。そうすると、あたたかくて柔らかいそれは、仄かにだけど確かに、私にエネルギーをくれる。
私にとって、滝口幸広さんというひとは、そんな存在だった。そして、それはこれからもきっと変わらない。彼は今までもこれからも、へなちょこな私にハッピーでポンコツなパワーをくれるお守りなのだ。

たっきーを想うと、ちょっぴり切ないけど、でも今でも9割くらいは楽しくて、幸せな気持ちになる。笑える。ニコニコする。その事実が、やっぱりちょっと切なくて、とてつもなく愛おしい。

いろんな人やものを見て、たっきーを思い出すことができる。たっきーと接点のあるものが、人が、この世界にこれだけ存在することに、びっくりしたりもする。
演劇を観ること、東京に行くこと。私にとって、その原点はたっきーだった。その事実が一生変わらないのが、私にとってはめちゃくちゃ自慢だ。たっきーに教えてもらった楽しい世界を楽しむたびに、私は何度でもたっきーを思い出して、ありがとうって、想うだろう。
ひまわり。星の王子様。織田信長。海。イタリアン。高村光太郎。水泳。サッカー。声が大きいひと。アディダス。ピロシキ。たっきーが関わった作品、関わった人、関わった会社。家でテレビを見ていても、ちょっと外に出かけても、どこもかしこも、たっきーに繋がるものだらけだ。私に見える世界はどこまでも、たっきーという名の幸せが広がっている。

たっきーは本当に、文字通り、どこにでもいる。名前の通り、幸せをたくさん、広めてくれていたのだ。

もうひとつ自慢がある。彼が私にとってお守りであること、そして彼に出会えてとてもうれしいこと、ありがとうという言葉、私は後悔なんてないくらい、生前の彼に伝えることができた。手紙を書くことくらいしかできなかったけど、私は私なりのせいいっぱいで、たっきーのことが大好きだったし、その気持ちを言葉にして彼に伝えることができていたと思う。それが、何よりの自慢だ。


たっきーはもう、この世界にはいない。
だけど、ちゃんと、存在してもいる。
どこにもいないけど、どこにでもいる。
「死ぬけど、死なない」。
星の王子様に扮したたっきーが言っていたことを、彼はその命をもって、体現している。

たっきーが死んでしまって、ズタボロに泣いた日もあった。でも、あっという間に愛おしさと笑顔が悲しみを追い越してしまった。
だってこの世界には、たっきーがものすごい勢いでばら撒いてくれた、それはそれは全力で撒いてくれた幸せの種が、たくさんある。彼が私にとって大切なパワーの源であることは、これからも変わらない。今もポケットの中から、「がんばれよー」って言ってくれている気がする。
だから私は今日も、笑って生きている。たまにポケットの中に手を入れて、そっとパワーをもらって。これからも、笑って生きていきたいと思う。


たっきーが愛したひとたち。
たっきーを愛したひとたち。
そのひとたちが愛する、また別のひとたち。
みんなみんな、とにかくたくさんの人に
これからも幸せが広がっていきますように。

きっとたっきーが見守っていてくれるはずだから。
私もたっきーみたいに、ひとを笑顔にできるように。幸せの種を撒けるように。がんばります。だって、たっきーには負けたくない。負けられない。たっきーは私のお守りであり、心のライバルでもあるから。


たっきー。滝口幸広さん。
たくさんの贈り物をありがとう。

安らかに、眠ってください。


2019.12.20 西垣ポプラ

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