詠み人知らず

ノートに降臨した謎の詩人 読み人知らず。です。 気まぐれにつづる詩をご堪能ください。 …

詠み人知らず

ノートに降臨した謎の詩人 読み人知らず。です。 気まぐれにつづる詩をご堪能ください。 (スタエフでの使用について) 使用される場合は、#詠み人知らずのタグとノートのURLを貼り付けてください。

最近の記事

シーグラス

浜辺を歩くとカラフルな石 シーグラスと呼ばれる不思議な石 そのまんまだと人を傷つけてしまう 鋭利なガラス片は。 大自然の中を旅して 最後に光る石になる。 尖ったガラスは石に削られ 波にもまれる。 それはそれは過酷な旅路。 そのなかでもしかしたら 可愛い小石と身を削る恋をしたかもしれない だけどガラスは旅を続けて、 出会った石たち 揉まれた波の中で心の涙をそっと秘めた夜も。 月だけがみていた時もあるだろう。 太陽の光を浴び柔らかに光るシーグラス いくたびもの孤独をその

    • コント・コンビニバイト

      ボケ:ねえねえねえ! ツッコミ:ねえは一回で十分やろ ボケ:私なコンビニの店員さんやりたいねん ツッコミ:コンビニ店員かあ……チッ ボケ:何、苦虫を噛み潰した顔してんのよ? ツッコミ:音声配信だから顔見えんやろ ボケ:それもそっかあ。あはは。 ツッコミ:で、なんでまたあんな純粋なるブラック企業セブンイレブ⭕️の店員やりたいんや? ボケ:店名まで言うなよ。とにかくやりたいねん。 ツッコミ:日本三大コンビニエンズストアの一つであるセブンイレブ⭕️はなあ、他に類を見ない大大大ブラッ

      • 推し

        画面の向こうの君 手を伸ばしても届かない。 その先に触れたいと思うのは 単なる私のわがままで 推しとリスナー 越えられない電波の壁 君は存在してるのか 意図して作られた存在なのか だけどそれが愛おしい。 推しは推しとして 一線を超えず みんなに夢を届ける 素敵な人

        • 王者のうたたね

          初めて行った喫茶店にあの子はいた。 はちみつ色の瞳に夕日のような毛色 絶対的王者の品格 お客様の足と足を縫うように動く優雅さ 品物には手をつけない気高さ。 食べ物はあの子が厳選したものしか食べない。 チュールが嫌いで ゆでたささみが好き。 あつあつのそれを ガツガツ食べる様は 百獣の王の野生味。 君は人の好みも激しいから、 僕には必ず猫パンチと指をカミカミ。 (ご褒美です!) 君は気持ちいい場所を知っていて、 陽だまりがある窓辺の フカフカの マカロンクッションが

          貴女の好きな味

          あなたがいなくなった家で 今日も食べる味噌汁 わかめと豆腐と油揚げ。 出汁は昨晩からとったいりこを使って。 あなたがうまいと言ってくれた白飯は 炊く前の吸水時から入れた昆布が隠し味。 少し塩辛い卵も好きだと言ってくれた。 本当は甘い卵焼きの味に 慣れているのに あなたが食べてくれるから、 苦手な料理も頑張った。 最初は焦がしたり、味が薄かったりして 食べられたもんじゃなかったのに 君は 「お前の作る料理が好きだ」 と言ってくれた。 ねえ、私、料理こんなに美味くなった

          貴女の好きな味

          茅野太郎と占いの学校5

          夜も深いし子供が夜歩くのは危ないからと、8時で帰された。 15歳になったし、もう子供じゃ無いんだけどとは思いつつ、家路を辿る。 満月がかすむほどのネオンがビカビカと夜の帷を照らす。 茅野太郎が生まれた地域は、電車が3時間に1本しかない、しかもその電車は一両編成。 だだっ広い田んぼがあり、空の青色が水田に鏡のように映る光景は、なんとも言えない気持ちになる。 占学に来たときは、思った以上に都会でわくわくした時もあったが、今となれば、不便ではあるが田舎のあの風景が恋しくなる。

          茅野太郎と占いの学校5

          茅野太郎と占いの学校4

          ドアチャイムがガラリと音を立てた。 女の子が恐る恐る入ってくる。 「……こんにちは」 「らっしゃい」 太郎の向かい側に座る。 無言の時間が少しの間流れたが、女の子の方が口を開いた。 「茅野くん、どうしたらあなたみたいになれる?」 「ならないほうがいい」 「そんな」 「その先は、孤独だぞ」 「……」 「結局、占い師はひとりぼっちだ」 「茅野くんは、寂しくないの?」 「慣れた」 「……」 よくある話。 占い師になりたいという人はごまんといる。 楽に稼げるから、自分の好きな時に働け

          茅野太郎と占いの学校4

          茅野太郎と占いの学校3

          太郎はカフェのドアを開ける。 「太郎ちゃんおはよう」 「おはよう。トーラさん」 トーラさんと呼ばれた女性は、マッチを擦ってロウソクに火を灯し、白川の長尺線香を焚いた。 ふわり、と甘く濃厚な香りがただよう。 「きょうもおきばりよー」 「はい」 ヴィヴィアンウエストウッドの大判ハンカチを広げる。 そこに8面体サイコロ2つと6面体サイコロを3つ並べ、テーブルのろうそくを手元に置き、店内に満ちる線香の甘い香りをゆっくり吸った。 ろうそくの炎を揺らさないように数分間静かに呼吸す

          茅野太郎と占いの学校3

          茅野太郎と占いの学校2

          比流古島(ひるこじま) 地図にない消された孤島。 なのだが…… 東京都と同じ面積で、地方都市以上に栄えている。 全国チェーンの飲食店やカフェが軒を連ね、個人経営の店も2000を超える。 各国の要人や、財界の人間、官僚や外交官も足を運ぶ。 この島に住む人間は全員国家資格を持った占い師か、もしくは占学の人間だけである。 金曜日の夕飯時。チュッパチャップスを口にくわえ、作務衣のポケットに手を突っ込んで厚底靴の踵を鳴らしながらフラフラと歩く少年が1人いた。 「占学の、茅野太郎か?

          茅野太郎と占いの学校2

          茅野太郎と占いの学校1

          ある時代のある時に、海を超えた国からの科学兵器により多くの死者が出た。 時代は未曾有の混乱を期した。 そんな中、幅を利かせていたのは占い師という存在。 この数年で占い師は爆発的に増え、デタラメを言うものやマルチ商法に誘導するなど、やりたい放題の占い師が増えていた。 彼らを牽制するために国は占い師を国家公務員とし、しかるべき機関で教育したものしか占い師を名乗ることを規制した。 それは 日本八百萬占術専門学校。 地図から消された孤島にある、日本で唯一の占いを主に学べる専門学校

          茅野太郎と占いの学校1

          油売りラップ

          ヨーヨー! 俺はいなせな油売り 稲荷は特に嫌いじゃないぜ 商売繁盛食欲増進 シカヘル印のごま油 これをごらんよこの色を 黄金色の雫を垂らす。 とうとうたらりとうたらり 5円玉の穴をも貫く このご縁は合縁奇縁 見つめてごらんよこの銭を 油が少しもかかってない。 この技タダで見れるのは シカヘル印の油売りのみ! 雫が満ちれば時も満ちる 一度出会えば次いつか? それは 空舞う風に名前を たずねているようなもの 一度試してみてわかる 料理の腕が格上げされる シカヘル印のごま油 価格は

          運命の紅色

          傷ついただけ、綺麗になろう。 リップの色を変えるように 相手も変わるよ。 これから、 一番しっくりくるリップ 探しに行ってね。 似合わなければ まだ運命の一本と出会ってないだけ。 唇は一つだけだから、 口紅を使うのは一つだけ。 きっとあなたに似合うものは見つかるよ。 世の中にはこんなに口紅があるのに 自分のものがないなんてありえないでしょ。

          涙の国のあるきかた

          過去に受けた傷は 今も透明な血を流している 時折夢を見ては 寝れない夜を過ごす。 涙を流しながら振り返る そいつを恨んでも 意味がない わかっちゃいる。 わかっちゃいるんだ。 この涙の国にいる限り ずっと雨に打たれている 濡れているのはわかっているんだ。 この国から連れ出してくれる 救世主などおらず。 白い馬も走り去った。 ならどうするか?と言うと。 自力で歩いて濡れないところまでいく。 空色の傘を刺して愉しむ。 いくらでも 切り抜けられる。 いつかは晴れ間が来る日

          涙の国のあるきかた

          電子の天使

          綺麗な白い髪に透き通る肌 誰もが目を引く そのかんぱせは 誰もが綺麗と疑わない あなたの背中には 見えない羽があって 色をつけたら その色はきっと誰も知らない 綺麗な色 その色にあなたは名前をつけない 名前をつけてしまうと それは概念になってしまうから。 あなたの奏でる音楽は 天使が祝福してるよう 電波に乗せてみんなに届ける 二次元と三次元をドラァグする 君は電子が生んだ天使

          Happy?

          あなたはやたらと 幸せアピールする。 それは本当に幸せなのかい? 人にいいなあと 羨ましがられて そのチンケな自尊心を 膨れ上がらせている だけじゃないのかい? 本当に幸せな人は そんなことはしないよ。 ただ今ある幸せを 素直に受け取り ありがたいなぁなんて思いながら ゆっくり味わってる やたらと幸せだとアピールしても 意味がないことを その人たちは知っている ねえ、 それは 本当に幸せなのかい?

          まわり道 終

          先生が家に来た。 「久しぶり」 「オヒサシブリデス」 なぜか棒読みになってしまう。 気まずい。 隣にはお母さんがいる 「今日は、ね、ちょっと辛い宣告をしに来たの」 「まさか」 「休学、しませんか?」 「休学……」 退学ではなく休学。 お母さんは、フッと息をつく。 「あなたは成績は悪くなかったし、学校での態度もさして問題はなかった。だからこそ、今、つまづいてしまったことが何かの糧になればという、先生達の判断です」 「はい」 「少し回り道をして、あなたなりにゆ