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場と人とがフラットさを生む[Footwork&Network vol.25]

6月24日、私はゼミ生4人とソーシャルバー「PORTO」という場所に行った。場所は日本橋の方にある。元々は1人のゼミ生がアルバイトをしている神田の「ロボットカフェ」に残りのゼミ生で行ったのだが、その帰りである。ゼミ生の1人がこのバーの存在を知っていて、「みんなで行ってみよう!」ということで行くことになった。

PORTOは、その日の店長が日替わりで変わるというおもしろい特徴を持ったバーである。後から調べてみると人とのつながりやそこから生まれる価値を大切にしていると公式サイトに書いていた。実際にその日にいらっしゃった日替わり店長の経験のある方からお話を聞いても「この場所はいろんな人が集まるから何かが起こりやすい」と話していたのを覚えている。

PORTOは今年で5周年ということで奥多摩でイベントを以前にやっていたそうなのだが、それに来れない人のために後日祭をやっていたのが6月24日で、私たちはそれに参加した。扉が大きく開けられ、お店の外と中がつながっている。お店の前にもテーブルが広げられ、ビールサーバーが置いてある。6月下旬の夕方は風が涼しく、なんだか小さなお祭りが開かれているような気持ちになれる素敵な空間だった。そしてそこで出会ったのが今回紹介する「Iさん」である。この方は私が所属している大学のO Bであり、一緒にバーに来たゼミのメンバーの1人と知り合いでもあった。IさんはPORTOを喫茶店でコーヒーを飲んでいた時たまたまインターネットで見つけて、「とりあえず行ってみよう。自分に合う場所じゃなかったら帰ったらいいし」という理由でイベントではなくバーの方を利用したとこと素敵な空間だったということで6月24日のイベントも参加したらしいです。同じ大学のOBだし、知っている人の知り合いということで、すでにいくつかの共通点が、、、。いろんなところで人は繋がるもんだなあと。PORTOという場所、繋げてくれてありがとう。(笑)

 

共通点をチラッと聞いた私は「話してみたい〜!」という好奇心で飲み物片手に話しかけに行ってみた。開放的な空間で気づいたら1時間半ほど立ち話をしていた。例えばゼミの話。

「こんにちは〜!」

−「こんにちは!今日はどういうメンバーでいらしたんですか?」

「同じゼミのメンバーできましたよっ」

−「へえ素敵ですね。ゼミではなんのテーマでやられてるんですか〜?」

「私たち経営学部で、一言で何をやっているっているのは難しいですけど(笑)『創造的なコラボレーションのデザイン』というテーマでやっています!今回もそのこともあってゼミ生で一緒にPORTO来てみました〜」

−「素敵なゼミですね〜!私の頃のゼミは〜」

そこからどんどん話が出てきて話題が絶えない会話だった。私はその会話がすごく楽しかったし、心地よく感じた。じゃあその理由ってなんだろうと。私は一つに、年齢や経験、立場の違いが感じられないフラットな会話ができたからであると私は思う。フラットな会話とは?いろんなことが考えられるが私は、「年下の人が語る」が今回の場面では当てはまると思う。というのも私のこれまでの経験では年上の人と関わるときは上の人に経験などを語ってもらって、私たちはその話を通して教えてもらったり、「なるほどー」と納得したり、という記憶があったが、今回の会話にそれは感じられなかった。むしろ私たちの話を引き出してくれたり、それに共感してくれたりといった会話が終始続いた。そのような「年下の人が語る」というのがフラットな会話を生む要因であると思う。そしてその会話が心地の良さを生むと思った。

確かに「年上の人に語ってもらう」という会話から年下のわたし達が得られるものもすごく多いとは思う。がしかし、同時に年齢や経験による壁を作ってしまい、どうしても距離感が遠い状態の会話になってしまうのではないか。その意味ではフラットな会話、アリかも、大切かも、と思いませんか?

 ただもう一つ印象に残っている会話がある。話の途中で会話の心地よさから思わず私は

「すごくフランクに話してくださいますね!!すごい、、、」と言った。(思わず口からでた するとIさんは

−「本当は普段からそういう会話がしたいんですけど、今はハラスメントとかもあるし、すぐ訴えちゃったりする人もいるから、コミュニケーションに気を使うんです。あまり深い話を聞きすぎないようにしたりね、、、。実際に営業先の方に『どちらにお住まいですか?』って社交辞令で聞いたら、『なんでそんなこと聞くんですか!?』と怒られたこともありますし。こっちは社交辞令で聞いただけなのに、、」

なるほど社会人は、そんなことにも気を使う場面があるのか、と私は思いました。が、同時にそのように普段はコミュニケーションに気を遣われる方も、このPORTOでは年齢も立場も違うわたしたちとフラットな会話ができている。しかも無理してやっているというよりは自然に、、、。

つまりこの場所もフラットな会話を生み出す要因の一つじゃないかと。


とまあそんな会話もありましたし、そのほかにいた方ともお話ができて2時間ほどでPORTOを後にした。今回初めてこのバーを利用してみて(今回はイベント形式であったが、、、)私が感じたのは一言で言うと「場と人との相互作用が心地の良い関係のフラットさを生み出す」と言うことである。今回紹介したIさんの話を引き出す会話がわたしたちとのコミュニケーションにフラットさを与えたのは言うまでもない。しかし同時に相手の話を引き出すと言うことは、関係性や話している場所によってはプライバシーの侵害や、ハラスメントの可能性も出てきてしまう。しかしPORTOという場所が人とのつながりやそこで生み出される価値観を大切にしているからこそ、それに共感できる人たちが集まる。よって会社などでは気を使う方達もフラットな会話を楽しむことができる。


そしてこれがまさにサードプレイスなのだと思う。サードプレイスとは家、職場と異なった「第三の場所」のことで、人々がリラックスができたり、コミュニケーションが活発に生まれる場所のこと。この自由でリラックスした会話を促す場となっているPORTOが今回の私とIさんの会話を生み出す要因でもあるなと。そんな場所が、先ほどIさんのお話にもあったように、さまざまな問題が起こりやすいコミュニケーションが難しい世の中では必要であるなと感じた。


そして余談になるが、さらに私が感じたのは特にこのサードプレイスは大都市にあるからこそすごく重要であるなとも思った。じっさいにPORTOもいくつか店舗があるが、日本橋や品川など東京の中心部にある。というのも、地方出身の私の友達が東京に来て一番に感じたことが「隣に住んでいる人が誰とかあんまりわからない」と話していたからである。私も地方出身なので気持ちはよくわかる。東京などの都市は良くも悪くも人との距離やつながりがあまりないように感じる。人が多すぎるからだろうか。(上京してきた学生は特にツテも学校や職場以外であまりない)そんな私のような上京組にサードプレイスは人との繋がりを作っていく上で必要だと思った。

東京など人の流れがあるところでは、新しい人がたくさん入ってくるところでは、特に学校や家だけではないサードプレイスがあると嬉しいなと地方組の私としては思う。そしてそのような自分がリラックスできる場所でフラットな関係を作るのって素敵ではありませんか?


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