フラットな関係性[Footwork &Network vol.27]
ついに大学生活最後の春学期が終わりました。3年生からこの長岡ゼミに入り、2年目の今年は継続的に関わる越境先もあり去年とはまた違う余白があるような、でもなんだか忙しさもある一学期だったなあという印象です。
そんな春学期で出会った人を紹介する、F&N。私は滝野川フレイムスというレンタルスペースを運営しているカワダアヤさんとその場所での活動を紹介します。
滝野川フレイムスって?アヤさんって?
まず滝野川フレイムスとは、板橋駅から歩いて5分ほどの住宅街にあるレンタルスペースです。軒先に2畳ほどの大きさのまちの人と一緒に作ったコーヒースタンドがあり、日替わりでコーヒーやお菓子のお店が出店していたり店主のアヤさんが淹れたてのコーヒーや焼きたてのスコーンを提供していたりします。またその後ろにある1軒家の1階はレンタルスペースになっておりイベントなども随時開催されています。元々は築70年の古民家とのことで、1階のレンタルスペースが畳のお部屋だったり、そこに行くまでの廊下がノスタルジックな感じでなんだか落ち着く、そんな場所です。
そしてそれを運営しているのが管理人のアヤさんです。アヤさんとは主に豊島区で開催されているCCCの活動やリビングループという マーケットでお会いするようになったのがきっかけで私がフレイムスのイベントに行ったり、カフェゼミで提供するお菓子をお願いしたり、リビングループのワークショップのお手伝いをアヤさんにしてもらったりしました。
今回はその中からエピソードを交えて、アヤさんや滝野川フレイムスでの気づきを書いていきたいと思います。
普段のコーヒースタンド
4/30にゼミ生ののりと初めてフレイムスでアヤさんのコーヒースタンドに行きました。コーヒースタンドというだけあって本当に外でコーヒーを淹れていて、かつその日は涼しかったのでスタンドの後ろにあるハイカウンターに座って2人で飲んでいました。のりとお話しつつ、アヤさんとお願いしていたカフェゼミのお菓子をどんな感じにするか作戦会議をしつつのんびりしていました。するとそこに1人の男性の方がお客さんとして入ってきました。その方は過去にCCCにも参加してくれていてアヤさんと仲が良い方でした。私自身は名前も知っていたけど、ちょっと知っているからなんだか逆に挨拶ができなくてもじもじしていると、すかさずアヤさんが「この子がみきほちゃんで普段CCCやってくれている子だよ〜」と先に紹介をしてくれました。たったその一言だけで私は一言声を掛けやすくなって、流れよくその方とお話ができたり、その場にいた4人でお話ししたり、またのんびりしたりできて小さな空間だったけど居心地が良くなったのを覚えています。小さな空間に一緒にいると私は「自分から声掛けないといけないかな」とか「でも緊張するな」と色々考えてリラックスできなくなってしまうのですが、それがなくなったのがよかったのかなあと思っています。
朝ごはんの会
4/28の朝にフレイムスで開催された「朝ごはんの会」にゼミ生3人で参加をしてきました。アヤさんの朝ご飯好きが高じて月に1回ほど(今は暑いのでお休み中)行われている会です。私は8時半くらいに行ったのですが、10人ほどが畳のお部屋で朝ごはんの会に参加していました。この朝ごはんの会の面白いところが、ご飯を作るところから片付けまで参加者のみんなでやることです。最初の受付の時にアヤさんが「自分でご飯をよそって、1時間くらいでごちそうさまをして片付けをお願いします」と言われてスタートしたあと、外のコーヒースタンドのスペースにパンやスープ、フレンチトーストの材料が置いてあり、各自焼いたりよそったりして後ろの畳のお部屋で食べます。この仕組みがコミュニケーションを生むことになり、例えばフレンチトーストを焼いてくれる人が「いる?」と声を掛けてくれたり、食パンに乗せる具材にカッテージチーズがあったのですが「カッテージチーズって初めてみましたよねー!」という話でたまたま隣にいた参加者と盛り上がったりしました。
その後畳のお部屋に行って食べるときはテーブルの数的に相席になったりして、自然とコミュニケーションが生まれやすかったです。私は1人CCCでお会いしてよく話す方もいたのでその方と他のゼミ生とお話をしながらご飯を食べました。片付けも各自で行うのですが、洗い場が一つなので、「お皿全部洗いますよー」「いいの?ありがとう〜」という声かけがあったりと、自然に一言、二言会話が生まれる場になっていました。「お客さん」と「お店の人」という壁があまりないことによって、みんながお互いに協力して片付けたりするので会話が生まれやすくなることがわかりました。
チクチクワークショップのお話し
6/23はリビングループのマーケットで使用するのれんを作る「チクチクワークショップ」をフレイムスで開催しました。普段のマーケットは3つのブロックに分かれているのですが、7月はその1ブロックを「池袋人人横丁」としてより地元感のあるお店を出店してディープなエリアにしつつ、横丁という名前がついているのでのれんをつけようということになりました。まちの人とのれんを作ることによってマーケットやまちに関わりを持ってほしいということで、このようなワークショップが開催されたのでした。いろんな場所で開催したのですが、フレイムスではアヤさんのアイデアでカレーパーティーも同時にやることになり、レンタルスペースである畳のお部屋で、みんなで食べてから布を切ったり縫ったりしてのれんを仕上げていきました。レンタルスペースである畳のお部屋で行い、参加者はさまざまでフレイムスを日頃から使っていて今はギャップイヤーをとっている学生からマーケットのボランティア、たまたま通りがかったご年配の方まで様々な人が来てくださいました。ご年配の方が家から持ってきた珍しい形の糸通しを見せてくれたり、足踏みミシンの話をしてくれたりと世代が違くても手を動かしながらだと自然と会話も生まれていきました。
また中でも一番印象に残ったのが、カレーパーティーに興味を持って参加してきてくれた方がいたことです。ほとんどの人はワークショップやリビングループのマーケットに興味ある方でCCCでも見かけた方が多かったのですが、カレーパーティーに興味を持って参加してきてくれた方は本当にはじめましての方でした。元々カレーが大好きでたまたまInstagramでみてきてくれたそうです。カレーを食べながら最後の片付けまで一緒にやってくださいました。後日談なのですがこの方は実際に7月のマーケットにも遊びに来てくださり、まさに「まちの人とのれんを作ることによってマーケットやまちに関わりを持ってほしい」という思いを体現してくれました。
「カレーパーティー」を加えることによってマーケットに関わりの有無に限らず様々な人が参加しやすくなったのではないかと思います。
やさしくなれる居場所
このフレイムスでの3つの出来事を通して、まず「まちのひと」という、約束しなくても行くと気軽に会える関係や場所は大切だなと思います。友達や家族だけじゃない人たちに声を掛けたり私自身の居場所にもなり他の人と関わることがまた誰かの居場所にもなりうるのではないかと思います。
そしてそんな関係ができるのはアヤさんが様々な壁を払う工夫があったからだと思います。時には会話の潤滑油になったり、あえて参加者の流れに任せてみたりしていて普通のお店とはなんか違う、でも話しやすい環境が生まれているのではないかと思いました。
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