見出し画像

僕が営業マンをしていた時の話⑥

「……あ、もしもし、○○ですが。今よろしいですか?ちょっと相談があるんですけど…。」

直属の上司のI課長に電話をかけた。何せ3人しかいない課なので、相談はしやすい。ましてや、ねこを飼っている。

「あのー……実は」

『金なら貸さんぞ』

「あ、いやいや、そういう訳ではなくて」

「じ、実はお客さんトコ行く前にねこ拾ってしまいまして~」

『出た!アホかお前は!お客さん行く前やと~!?元の場所に戻しとけぃ!!』

「そ、そんな戻せません。」

『ま、戻せんわなぁ。で、お客さんは?』

「ちょっと遅れる連絡しました。課長、ねこ飼ってますよね?あと1匹飼えませんか」

『無理や』

「ちょっ、え~!即答じゃないですか」

『捨てねこやし、病気持ってる可能性もあるしな。うちのねこもいい歳になってきてるから病気うつされたら大変やからな』

「そういう問題あるんですか……わっかりました。すみませんでした。とりあえずお客さんトコ行って来ます!」

『おう、よろしく~』

一番頼りにしてた人が飼えないとは。

途方に暮れたが時間が無い。

お客さんの所に行かなくては。

ねこの入った段ボール箱どうしよう。

入り口に置かせてもらうか、エイヤッ!(商談終わるまで大人しく寝とけよ~頼むよ)

ガラガラッ「こんにちはー!遅くなりました、△△会社の○○です!」

─商談は上手くいった。

「ありがとうございました、失礼します!」

20分後、お店から出て、気掛かりだったねこの段ボールを置いた場所を見た。

…何故か持ち運び出来るように誰かが段ボールをレジ袋に入れてくれていた。中を覗くと、変わらずねこはスヤスヤ寝ているようだった。

電車に乗って会社に帰らなくては。



よろしければサポートお願い致します。頂きましたサポートは、うちの猫達の食事代として大切に使わせて頂きます(^o^)