【アレルギー】(産廃Gメンが見た)食品廃棄の裏側 石渡正佳、2016年6月発行

「消費者の胃袋が不法投棄現場に」
とてもわかりやすい言葉です。
 著者は大学卒業後、千葉県庁に入庁。1990年代からずっと産業廃棄物行政担当として第一線で戦ってこられた方です。
 アレルギー体質にとって質の良い食事は欠かせないものです。日本全体として昔ながらの粗食、少食に戻って欲しいと願っています。がどんどんファストフードやB級グルメなど安い早い美味いの三拍子がそろった栄養価が偏った食事に傾倒しています。その問題点として食料廃棄物の問題があり、しっかり理解しておきたいと思い、この本を読みましたので箇条書き・感想等を記したいと思います。気になった方は図書館や中古本、サラッと立ち読みなどしてみてはいかがでしょうか。

【過去の食品廃棄物等の事件】
 2000年:雪印低脂肪乳を飲んだ子供が嘔吐や下痢などの症状を訴え、被害者1.4万人を超えた「雪印集団食中毒事件」
 2001年:BSE対策の一環とした国産牛肉買取事業を悪用し、輸入牛肉を国産と偽って補助金を騙し取った買取牛肉偽装事件
 2007年:(ミートホープ)牛100%と偽り豚や鳥を混ぜていた偽装牛ミンチ事件、同年:赤福餅と白い恋人の期限偽装
 2014年マクドナルドの食品消費期限切れ問題、処理工場で落ちたものを踏みつけにしていたことも思い出されます
 2016年廃棄冷凍カツ流出事件(ココイチで廃棄した冷凍カツが再流通していた)。食品リサイクル施設のダイコーからみのりフーズを介して行われていた。数は4万枚以上に及ぶ。これをきっかけに廃棄物コンプライアンスの総点検が行われた。

 消費者庁によると年間2,550万トンの食品廃棄物が出され、そのうちまだ食べられるのに廃棄される食品「食品ロス」は612万トンだそうです。めたんこ多いですね。便利に食事ができる恩恵は憚らず受けていますが、自炊を心がけたいです。

食品廃棄を根本的に解決するには
・作りすぎない
・食品ロスを減らす
のふたつがあり単純だが、政策はクリティカルに機能していない。

これまでの事件は氷山の一角でいつ大量の犠牲者が出てもおかしくない。今裏で何が起こっているのか不法に消費者の口に入るような事態にならないために防ぐにはどうすべきかが本書の意図のようです。

廃棄される食品のリサイクルは腐葉土のように発酵させて数ヶ月かけて土に戻す。しかし、その熟成度は各種法律に明確に記載なく業者の自由になっている。そのため、受け入れたものを数ヶ月かけて発酵させるのではなく、そのまま不法投棄したりする業者が後を絶たない。リサイクル業者としては受け入れ量に比例して収入が上がるからです。

 廃棄物に含まれる有害物質についての法律はあまり細かくなく、ちゃんと有害物質を除去せず、そのままどこかに横流しすることも横行しているようです。
 有機栽培、オーガニック食品にも落とし穴があり、肥料や飼料に安全基準がほぼない廃棄物をリサイクルしたものが使われているかもしれない。

省庁の対策として廃棄の各段階の電子申請、廃棄前の破壊、リサイクル業者登録の厳格化。

あいまいなルールが抜け穴を作り、さらに利益をふやすためにちゃんと処理しなかったりする。

全体として法律の話が多かったです。法律の曖昧さが現状を生んでいるのだと理解できました。個人でできる「作りすぎない、ロスを減らす」をちゃんとやってこどもの世代に負担させないようにしていきたいです。

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