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【講義レポートvol.1】「木を見て森も観よ」次世代の観光ビジネスに求められる視点とは?(江藤ゼミ・ツーリズムプロデュース学①)

7月3日(水)に催された「ツーリズムプロデュース学」~世界を旅した経験を仕事に活かす~についてレポートします。

(一部、公開不可の部分はカットしています。)

江藤誠晃 プロフィール
トラベルプロデューサーとして国内外各地の観光マーケティングプロジェクトに携わるほか、旅系コンテンツのプロデュース活動を重ねる。観光分野における省庁・行政関連セクターとのプロジェクト運営実績が多くコンサルティングから事業立案・実行までをトータルに担当している。アーネスト・ヘミングウェイが好き。

1:あなたはHunter?それともFarmer?(江藤さん流自己分析)


自分のポジションはどこにいるのかを考える方法として2つのアイディアを紹介。(特にアイディアの名前はなかったのですが、便宜上、「GLOBAL PERSONマトリクス」と「H-F判定チェック」と呼んでます。)

①「GLOBAL PERSONマトリクス」

それぞれ、
DEEP思考:デザイナーなどとして他の人にはできない仕事を作りたい求道型のタイプ
BIG思考:起業や大きな組織のリーダーになりたいなどの野心のあるタイプ
JAPAN:国内
WORLD:海外
を意味しています。

このマップの中で、自分が今、どのポジションにいて、将来的にはどのポジションで仕事をしていたいのかを把握しておくことが、キャリアを考える基準になっていくということでした。

②「H-F判定チェック」

自分が求める働き方の特性を知ることができます。

Hunter
:狩猟民族系(フリーランサーに多い)
└今日と違う明日を常に考えながら、生きていたい人。
Farmer:農耕民族系(公務員などに多い)
└安定を求め、(仕事の)種を蒔いてじっくり育てたい人。

H-F判定チェックをすると自分が「H++、H+、H、F、F+、F++」のいずれかが分かります。

自分がどこかにあてはまるかを考えたり、思ってた属性と違った場合の差分を考えたりすることで、自己分析ができます。
また、同じクリエーターでもHunter型のクリエーターとFarmer型のクリエーターでは、志向が異なっている可能性あるとも。
だからこそ、自分がどのポジションにいるかが分かると、キャリアの方向性やそれに向けた対処の仕方が分かるということでした。

ポイント:
GLOBAL PERSONとしての志向と自分の特性を知ることはキャリアの方向性を考えたり、その対処方法を検討したりするうえで有効な手段。

2:「構造的理解と戦略的思考」をどう捉えるか

今後、観光が日本で3番目に大きな産業(車、精密機械、家電などに次ぐ)になる中で、世界を旅した経験を観光産業に活かすとすれば、世界の人が日本に来て、気持ちよくお金を払ってくれる方法を考えないといけないということ。

江藤さんは、
「世界の中の日本を構造的に理解する。ハワイでは(観光客が)10.5%という税を払っている。日本ではまだそういった付加価値に対してお金を払うという文化が広がっていない。世界の人がチップを払うような感覚でお金を払うように、今後の地方創生については、付加価値をどう考えるのか、高付加価値の産業をどう作っていくのかという視点が重要になってくる」と今後の観光産業の在り方について言及されました。

「木を見て森も観る=双眼鏡と虫眼鏡を両方持つこと」が重要。

ポイント:
「構造的理解」=世界の中の日本という大きな枠組みで捉える。
「戦略的思考」=高付加価値など、ものでなく、経験に価値を感じてもらうスキームを構築する。

3:「観光市場の3方良し」と「プロデューサーの3つの力」

観光市場の「3方良し」では、「旅人よし・住人よし・世界よし」となります。これは観光ビジネスについては、旅人、現地にいる人、世界をよりよくするというサスティナブルな視点の3方に目を向けて考えることを意味しています。(注:3方良しという言葉自体は江戸時代の近江商人(現在の滋賀県)の言葉。本来の位置づけは「売り手よし・買い手よし・世間よし」となっています。対峙する3者それぞれに利益がある形を形成するということ。)

3方よしで市場や環境を捉え、適切に企画を立てることができるのが、真のツーリズムプロデューサー。また、そういった状況を支えるものが、「プロデューサーの3つの力」であり、それぞれ、

構想力:企画を立てる力
情報力:情報を集める力
交渉力:企画の実現に向けて、粘り強く対話する力

となっています。(やや解釈が入っています。)

「3方良し」が成立しない事例として、外国人ボランティアによる学校建設がある。それ自体はいいことだが、国は「学校はボランティアが作ってくれる(から自国での対応は不要)」と依存心が芽生える。これでは、「住人よし」という形にならない。3方良しを実現するためには、それが誰のためなのかを考えなければいけません。

ポイント:
大事なことは、本当に日本、もしくは他国のために価値を生み出せているのか。その判断をするために有効な「観光市場の3方良し」を理解する。

1回目の講義では、紹介した3つの観点を学びました。(今回レポートしたこと以外にも、ハワイの歴史や今、江藤さんが担当されている事業について話されていましたが、外部NGのため、省略させていただきます。)
2回目は「次世代のゲストハウスとは?」を扱います!

4:参加メンバーの感想(TUNAGより抜粋)

・講義中でのFH判定の結果がまさかの?「F++」でした。恐らくPOOLOの中では少数派ではないかと思います。自分の適性を客観的に把握することは、自分に何が出来るかを認識する上でも大切だと思うので、とてもいい機会になりました。(くあっかさん)

・本物のグローバル人材になるためには構造的に社会を理解すべき…!職業柄歴史や社会問題に対して疎い部分も多く、そのようなことを学ぶのは苦手でしたが、江藤さんの話を聞いてワクワクしたので自分なりに日本や好きな国の歴史的背景を学んで、今の世界の成り立ちを考えられたら、「世界のための自分」に近づけるのかなぁと思いました。(あいさん-B6)

・海外に学校を作る取組の話で、「善意が悪意に変わってしまう」という一言にハッとさせられた。悪意に変わる背景には構造的理解の欠如と実績欲しさの運営ファーストな姿勢があると思い、社会へ働きかける時は気をつけていかなければと思いました。(メメさん)

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