見出し画像

石巻市・女川町 それぞれの復興と今 (POOLO地方創生部の活動レポート)

 「まちづくり」「地域づくり」「地域活性化」…多くの人が耳にしたことのある言葉でしょう。「地域」を意識する機会や視座は人それぞれで、地元意識のほかにも、ボランティアやビジネスなどを通して「地域」を再考することがあると思います。
 今回は11月22~24日に行われた、POOLO地方創生部の東北リトリートの活動をレポートします。様々なバックグラウンドを持つ多彩なメンバーが宮城県石巻市女川町を訪問しました。現地で何を見て感じたのでしょうか?

大川小学校跡地(旧河北町)

石巻・女川FW_191223_0003

 東日本大震災の本震からおよそ50分後、この大川小学校から避難しようとしていた児童74名と教職員10名が津波にのまれて犠牲となりました。学校の監督下にある状況で発生した児童の死亡事故としては、過去最悪の出来事であると言われています。

 今も被災した建物がそのまま震災遺構として残されており、慰霊碑が建てられていました。校舎の凄まじい破壊具合からは、津波が襲ってきた当時の様子がそのまま伺えます。校舎のすぐ近くには裏山があり、ここに避難していれば多くの人が助かったかもしれないと言われています。この裏山からは校舎や校庭が一望でき、私たちが訪問した日には、大学生の団体が校外学習のために訪れていました。

 語り部活動をされている方から、津波警報が発令されたときの状況判断の仕方や防災意識の持ち方の重要性について話していただきました。地震はいつ起こるかわかりません。大震災が起きた時に冷静に判断できるように、日頃から防災知識を蓄えておくことの大切さを学びました。

画像1


雄勝ローズファクトリーガーデン(雄勝町)

石巻・女川FW_191223_0065

 東日本大震災の津波によって壊滅的な被害を受けた雄勝町で、「花と緑の力」をスローガンに住民が立ち上げたプロジェクトです。津波被害の爪痕が残っていたこの地域で、地元住民のほか、ボランティアや企業社員などの多くの人たちの力を結集させて、素敵な花園をつくり上げています。

 今回私たちは、台風の影響で盛り土が流れ出てしまったオリーブ畑の手入れをお手伝いしました。私たちのほかにも大学生たちがボランティアに取り組んでいて、ボランティアや市外の人の活動が被災地を活気づける一助となっており、その重要性に気付かされました。


女川町観光協会(牡鹿郡女川町)

石巻・女川FW_191223_0066

 女川町観光協会の方から、災害に強いまちづくりについてお話をうかがいました。震災から1か月という短期間のうちに民間事業者主体で立ち上がった「女川町復興連絡協議会」は、復興のためのまちづくり事業において60代以上は口出ししないという、若者主体の方針をとりました。「おながわ復幸市」や「女川コンテナ村商店街」など行政支援に頼らずに、民間事業者が主導して復興に向けて取り組んでいく姿勢は、まさに住民個々が高い主体性をもった自治だと思います。「民間でもパブリックマインドを持つことが大切」というフレーズも印象的でした。
 駅周辺は雑貨屋や飲食店が連なり、観光客で賑わっている一方で、津波で横転した女川交番など、震災の経験を風化させないための震災遺構が残されていました。

石巻・女川FW_191223_0046


最後に

 東日本大震災が発生してから8年が経ちました。筆者は震災当時にボランティアとして被災地を訪れたことがあり、そのとき以来の被災地訪問となりましたが、地域によってはいまだに瓦礫が撤去されたまま空き地となっているところが多いように感じられました。そのような中でも、地元の皆さんは震災の経験をお話ししてくださったり、美味しい料理を振舞ってくださったりと僕たちを温かく迎えてくださいました。
 現地の様子や地元の人の思いなどは、現地への訪問なしには実感を伴って理解することはできません。今回の東北リトリートで、現地を訪問する大切さを改めて気付かせてもらいました。今後も国内や海外などの現地訪問を通じて得た気づきを、旅好きが集まるPOOLOで共有していきたいです。

画像4

 12月7日、POOLO地方創生部の上期活動発表会で、今回の東北リトリートについて報告させていただきました。
 下期も宮城県日南市などでのフィールドワークに向けて調整を進めています。POOLOメンバーでご興味のある方は、slackの#地方創生部チャンネルをご覧ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?